2023 Fiscal Year Research-status Report
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21K01115
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
橋場 典子 関西学院大学, 法学部, 准教授 (90733098)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 法認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
法システムの存在と当事者による法システムの活用との間には大きなギャップがある場合がある。司法アクセスの拡充のためには、既に様々な施策が展開されているものの、いまだ残されている課題がある。その一つが、本研究で焦点を当てる脆弱性を持つ人々の法認識と法活用との間にあるギャップである。とりわけ何かしらの脆弱性を抱えている場合には、脆弱性を抱えていない場合と比較して法システムへのアクセスにより多くの障壁が存在していると思われる。そもそも、法的トラブルに直面していること自体に気が付かない場合もあるし、気付いていても法的救済や「支援」を拒絶する場合もあり得る。このような研究関心のもと、本研究では法システム活用に際して重要となってくるであろう心理的側面に焦点を当て、システムが原理的に内包する排除性の克服がいかにして可能かについて、実証的・理論的に解明することを目指すものである。
2023年度は、2022年度に引き続き、法システムが内包する排除性のジレンマの存在とその緩和に焦点をあて研究を実施した。具体的には、法システムへのアクセス障碍の克服にある程度成功していると思われる事例に赴き、聴き取り調査を実施した。その結果、法的トラブルへの気付き自体はあっても法システムへのアクセスを避けている場合(弱い法拒絶)には、法関連機関や行政機関、法専門職らに対する心理的障壁がある点が示唆された。加えて、本年度に実施した、法的ニーズの認識自体に困難が生じる場合の聴き取り調査からは、司法ソーシャルワーク等の先駆的取り組みが展開されている一方で、その継続性に対する課題も析出された。 次年度は、この間に蓄積してきた研究視座の整理をするとともに、本研究課題の研究成果のまとめと成果公表に当てる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた文献調査及び実証的調査が遂行できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究の計画に沿って文献調査及び実証的調査を遂行していく。コロナ禍により実施が困難であった調査先にも調査に赴く予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により国際的な活動に制限が生じた。翌年度は制限が緩和されると思われるため、研究計画に従い積極的な国際活動(諸外国への調査、国際学会発表等)を行う予定である。
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[Book] 日本の青少年の行動と意義2024
Author(s)
津島昌寛,上田光明,相澤育郎・大塚英理子,都島梨紗・森久智江,岡邊 健,竹中祐二,大江將貴,齋藤尭仁, 相良 翔,橋場典子・津島昌寛,我藤 諭,大谷彬矩,松川杏寧,久保田真功・作田誠一郎,津富宏(ISRD-JAPAN 実行委員会編)
Total Pages
259
Publisher
現代人文社
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[Book] ディスカッション法と社会2024
Author(s)
原田綾子,土屋明広,田巻帝子,久米一世,紺屋博昭,緒方賢一,小佐井良太,山口絢,小川祐之,高村学人,亀岡 鉱平,髙橋満彦,東郷佳朗,上地一郎,一家綱邦,志賀典之,宗野隆俊,秋葉丈志,郭薇,橋場典子,山田恵子(飯 考行編)
Total Pages
301
Publisher
八千代出版
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[Book] 法社会学の最前線2023
Author(s)
飯田高,船越資晶,吾妻聡,橋場典子,岡沢亮,阿部昌樹,森大輔,仁木恒夫,渡辺千原,林政佑,佐伯昌彦,藤田 政博,小宮友根,平田彩子,井上由里子・佐々木通孝・吉岡(小林)徹,高橋裕,見平典(日本法社会学会 編)
Total Pages
354
Publisher
有斐閣
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[Book] 手続利用者からみた民事訴訟の実際2023
Author(s)
垣内秀介, 石田京子, 山本和彦, 山田文, 今在 慶一朗, 田村陽子, 橋場典子,手賀寛,堀清史, 内海博俊, 佐瀬裕史, 勅使川原和彦, 竹部晴美(菅原郁夫・垣内秀介・石田京子・山田文編)
Total Pages
261
Publisher
商事法務