2023 Fiscal Year Research-status Report
公共施設の運営の現代的課題に関する研究――海外インフラ展開と洋上風力発電を中心に
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21K01124
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木村 琢麿 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (40234364)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公共施設 / 公物 / 財政 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に続いて,港湾法をはじめとした公共施設法制に関する分析を行った。具体的には,①公共工事とその費用について,個別法の仕組みの検討に当たって,国家賠償法の観点を取り入れて考察した。②国有港湾施設の意義について,管理委託制度などの諸制度に着目し,その沿革を踏まえて現行法の解釈と問題点について検討した。③公共施設の貸付けについて,伝統的な公物法上の諸原則やフランスの判例との関係などから考察した。④公共施設の利用に関する料金について,特に港湾法上の制度と第二次大戦前の制度との連続性に注目して考察を行った。⑤公共施設における占用公募制度について,道路法をはじめとした現行法を横断的に考察し,その共通点と相違点,問題点を明らかにした。⑥公共施設法制と行政訴訟について,各種の計画や公共工事,公募占用許可に関する紛争を想定した考察を行った。いずれも,公共施設全般に関する理論的な考察を試みたものであるが,特に⑤と⑥は,主として洋上風力発電事業による港湾区域の占用を想定した研究成果であり,海外インフラ展開の基礎となる国際的な問題状況の普遍性を踏まえて,公共施設の現代的運営のあり方に関する考察を行っている。 公共施設と財政の関係については,広く公的な行政手段と私的な行政手段という観点から,公金と公的財産に関する現行制度を対比させながら考察を行い,最近の法改正の動向を分析した。また,財政的観点に関しては,現代的な国会統制に関する邦語論文と,財政統制の多様化に関する仏語論文(学会報告をもとにしたもの)を脱稿した。さらに,私人の公金取扱いに関する法的規律について,フランス法の原形的モデルをもとにした考察を行い,近時の地方自治法改正の意義と問題点について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関する基礎的研究を行うとともに,研究成果を継続的に公表しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,基礎的研究を継続するとともに,研究成果の公表を積極的に行う。
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Causes of Carryover |
文献収集等のための旅費の支出をしなかったことによるものであり,次年度の書籍の購入費用等に充てる予定である。
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