2023 Fiscal Year Annual Research Report
Legal Policy on the effectiveness of unilateral measures and cooperative actions through regional tax relationship among nations
Project/Area Number |
21K01125
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
川端 康之 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (70224839)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際連盟 / 租税条約 / 恒久的施設 / 独立企業原則 / 営業所 / 吸引力理論 / 帰属主義 / プリザベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、従来の文献調査に加えて、欧州学会、国際学会に臨場参加し、コロナ禍以来不充分であった欧米研究者との意見交換や研究動向調査を対面で行った。 過年度から行っている文献調査では、1920年ごろからの国際連盟でのモデル租税条約策定過程での国際連盟事務局資料や国際連盟租税委員会で中心的役割を果たしたM.B. Carrollの遺稿の調査を行い、キャロルが国際連盟と米国において二重課税排除ルールの条約化・国内法化に重要な役割を果たし、当時の国内法と租税条約が一貫した考え方で整理ルール化されていることが判明した。 また、6月の欧州学会に参加し、ロッテルダム大学のシグリット教授との意見交換において、近代的な租税条約の端緒はプロイセン・オーストリア/ハンガリー二重帝国間租税条約ではなく、プロイセン・ザクセン租税条約であるとの理解が誤っておらず欧州においても主流の理解であることの教示を受けた。さらに、ザクセン条約の締結に至る経緯や北ドイツ連邦議会委員会での審議過程も明らかになった。こういった微妙な点は、やはり対面による意見交換が必要であることを再確認した。 さらに、米国ワイオミング大学図書館American Heritage Collectionsの中に上述のキャロルの遺稿の一部が所蔵されていることがわかり、2023年10月にメキシコ・カンクンで開催されたInternational Fiscal Associaiton年次大会への参加の往路に同大学図書館でそれらの遺稿を確認した。遺稿の中にはいままで各種の論文では引用されていない原稿も含まれており、貴重な情報収集となった。また、カンクンの帰路には米国イェール大学図書館に所蔵されているアダムス文書の再確認した。これらの新たな史料を含めて、専門家研究会や学会でその経緯を発表し、一部は論説で公表した。
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