2021 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ租税法に見る財産評価の法理論の構築ー不動産税を素材としてー
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21K01129
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
手塚 貴大 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 教授 (50379856)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 固定資産税 / ドイツ不動産税 / 空き家対策 / 国賠訴訟と固定資産税 / 民法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ドイツ不動産税改革を深く検討するべく、資料収集とその読解を中心に実施することに集中した。具体的には、不動産税改革に関するコメンタール等につき、最新版を収集し、それについて、読了を行った。また、不動産税改革を検討する作業の不可欠の前提として、行政法に関する最新の知見が必要であると考えられるところ、それに関する著書・論文を収集し、それらの重要部分に関する読了を行った。これらの作業により、翌年度以降の研究が進展すると思われる。したがって、本年度においては、いわば今後の研究の準備作業を行った。その他には、ドイツの議論の検討を行うことと並行して、わが国の法制度の検討として、固定資産税、財産評価の方法につき、検討を行い、若干の成果を公表することができた。特に、最近の固定資産税に関する重要問題として、空き家対策を固定資産税の課税を通じて行うことの可否について、法定外目的税、固定資産税の減免の可能性も含めた関連する地方税制をも踏まえて検討を行った。その結果、差し当たって、住宅用地の特例解除は必ずしも空き家対策の実効性を確保するか否か定かではなく、複数の政策手段を用いた総合的な政策が必要であるという結論に行き着いた。さらに、民法学説も踏まえつつ、違法な固定資産税の課税を国賠訴訟で争う際の除斥期間の起算点に関する最高裁判例の検討を行う機会も得た。本年度は、すべての領域をカバーするものではないが、政策論的、解釈論的な観点から基礎的家研究を行うことができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は最近の不動産税改革を研究し、特に、その財産評価のあり方、不動産税の政策税制としての可能性等につき、理論的検討を行うことが目的であり、今後ドイツにおいて公表されてくるであろう研究業績を同時並行的に入手する必要があるため、ドイツにおいて発表された厚みのある研究業績を十二分に踏まえてそうした作業を行うことは性質上難しい。すなわち、ドイツにおいて公表される論文を逐一入手し、研究を進める必要がある。そこで、まずは、そうした研究業績のうち、重要なものを入手し、読了した上で理解を深め、それを踏まえて論文執筆を行う必要がある。また、当然、わが国の固定資産税性に関する問題点の検討を併せ行うことで、一層深みのある論文が執筆できるようになると考えている。本年度は、そうした準備作業を行うことができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度の研究成果を踏まえ、既に入手し、または入手することになる資料を読了し、わが国との比較も踏まえて、論文執筆を行っていくこととしたい。特に、比較をする上で、わが国の財産評価に関する学説・判例をもう一度再検討を行い、自分なりに理解を深めることにより、過去の研究において足りなかった視点、さらには、新たに獲得するかもしれない知見の発掘を目指して研究をしていきたいと考える。
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