2022 Fiscal Year Research-status Report
戦争の脱領域化/個別化への対応としての国際人道法の機能主義的再構成に関する研究
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21K01171
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
新井 京 同志社大学, 法学部, 教授 (10319436)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ウクライナ / ロシア・ウクライナ戦争 / ナゴルノ・カラバフ / 租借 / 沖縄 |
Outline of Annual Research Achievements |
武力行使の禁止、武力紛争における戦闘方法手段の規制、およびそれらの基本となる領域的秩序に関する研究を行った。 第1に、2022年2月24日に開始されたロシア・ウクライナ戦争との関連で、かかる明白な侵略行為において、武力紛争法がどのように適用され、かかる適用が侵略の違法性にどのように影響を受けるかを検討した。武力紛争法の適切な適用のために必要な一定の「価値中立性」の維持が、侵略に対する制裁、国際刑事法の適用(侵略犯罪の訴追)と緊張関係にあることを明らかにした。 第2に、ロシア・ウクライナ戦争が明らかにした他の問題として、戦闘の方法手段の規制に関する国際法(第一追加議定書)が未解決のまま放置していた争点に関して、根源的な挑戦が生じていることを指摘した。占領、攻囲、予防原則などがそれである。 第3に、武力紛争と領域法の関連について複眼的な検討を試みた。例えば、第2次世界大戦後の米国による沖縄の占領・統治に関して一次資料を用いた検討を行った。これまであまり議論されてこなかった米国の沖縄統治と戦時占領、平時占領、信託統治、領域租借といった諸概念との関係も検討した。そこから明らかになったのは、武力行使の結果による領域の取得に関するルールの確立期において、当事国が様々な法的テクニックにより「作られた曖昧さ」を存分に利用していたことが明らかになった。また別の問題として、領域紛争の平和的解決における当該紛争に関わる「武力行使」の合法違法が持つ意義を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロシア・ウクライナ戦争の影響で、さまざまな場(主として国内)で研究報告と意見交換の機会が得られた。このことは、まだなお残存するコロナ禍による海外出張の制限を補ってあまりあるメリットをもたらした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降、海外出張を復活し、米国における公文書収集なども行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2022年度は、海外出張に関する制限(航空券の高騰や減便の影響が続いたこと)が残っていたため、経費が若干余ることとなった。23年度以降、そうした制限は順次解消すると思われるため、適正な使用状況に復帰するものと見込んでいる。
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