2021 Fiscal Year Research-status Report
CASE新時代を見据えた交通刑事法のアレンジメント
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21K01197
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 伸彦 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (00334293)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 刑法 / 過失運転致死傷罪 / 危険運転致死傷罪 / 業務上過失致死傷罪 / 重過失致死傷罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自動運転システムを含むITSに係る技術・産業の一層の発展が国家的課題として推進される現状において、その社会的受容性を高める上で不可欠の領域の1つである、事故時等の責任関係の問題、具体的には、主に道路交通法が規律すべき交通ルール上の検討課題と、主に刑法・自動車運転死傷行為等処罰法が規律すべき刑事罰則上の検討課題を洗い出し、既存の法制度、法適用によっては必ずしも十分に賄うことができない論点を特定し、それを補うために必要な法整備、法理論を探究、提案することにより、我が国の交通刑事法における、来るべきCASE新時代に備えたアレンジメントの方策を見出そうとするものである。本年度は、本研究を遂行する上で土台となるべき、犯罪論の基礎領域における、特に(1)刑法上の過失致死傷(過失運転、業務上過失、重過失)事案の取り扱いに係る現状と課題、及び、応用領域における、特に(2)いわゆる自動運転車の導入に伴う刑事責任の取り扱いに係る将来的課題を分析した。(1)については、当為的な危険予測・回避行動とそれによる仮定的な結果発生の回避が過失犯の実体を構成する理論的な骨格であることを確認し、その成果は、論文等公刊・学会報告によって発表した。(2)については、世界的に通用しているSAE規格(J3016)における6段階(レベル0~レベル5)に応じて、研究計画において掲げたとおり日独の比較を念頭に、人の死傷を伴う自動車事故の刑事責任に係る論点整理を行い、その成果は、論文(ドイツ語)公刊によって発表する予定である(掲載確定)。さらに、これらの研究を遂行する過程で、通常想定されている刑事責任は過失犯であるところ、故意犯との境界が必ずしも明瞭ではないケースがあり、それが実務的にも悩みどころとなっていることが判明し、そのケース研究も追加的に行い、その成果は、論文等公刊によって発表する予定である(掲載確定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検討作業の対象は、研究計画に沿って進行している。研究成果の一部は、論文等の形で公表している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、研究計画に従って検討作業を進行してゆくが、追加的に、実務的にアクチュアルな課題となっている、人の死傷を伴う自動車事故における過失犯と故意犯の限界問題の検討を行うこととし、他方、刑事法における過失犯の問題は、2022年度日本刑法学会大会分科会においても取り上げられる予定であり、そこでは実体論のみならず手続論の重要性も意識されていることから、そうした学界の問題意識に応答できるよう、2023年度に計画していた手続面の検討を、部分的に前倒しして行うこととする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じたのは、出席を予定していた学会・研究会がCOVID-19問題によって延期されたりオンライン開催になったりしたために出張を実施しなかった(できなかった)ことと、購入を予定していた書籍が出版社の事情によって刊行が遅れたりCOVID-19問題等によって海外からの取り寄せに困難が生じたりしたために購入を見送ったこと等が理由であり、使用計画としては、これらの事情が解消した場合に研究に必要な学会等出張や書籍購入に充てる。
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