2021 Fiscal Year Research-status Report
被疑者国選弁護、取調べの可視化の制度化を踏まえた起訴前弁護の理論的再構築
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21K01198
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水谷 規男 大阪大学, 高等司法研究科, 教授 (20211584)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 被疑者弁護 / 国際人権基準 / 無罪推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
現時点では、本研究課題に関して、研究活動の直接的成果として公表した研究業績はない。しかし、捜査段階において作成された調書の利用に関連して、刑訴法328条の解釈適用を再検討するべきことを指摘した論文を公表したほか、本研究課題に関連する研究業績の公表は開始している。 また、取調べの録音・録画が制度化され、その運用が始まって数年経つので、文献調査等を通じて、取調べの可視化が実態としてどこまで進み、実務において取調べの記録媒体がどのように捜査弁護に影響を与えているかについて、検討を進めている。また、取調べの録音・録画に関しては、国際人権規約の人権委員会(自由権規約委員会)の関心も引いている(日本政府の第7回政府報告書に対する委員会の事前質問においても取り上げられている)ので、自由権規約委員会に置ける審査状況も注視しつつ、論文執筆を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大のため、出張を伴う弁護士への聞き取り調査の実施が困難であったため、2021年度においては、文献調査を中心とした活動しか行うことができなかった。このため、旅費、謝金等として支出を予定していた研究費に相当の残金が生じた。この残額を2022年度に繰り越すことにより、2021年度において予定していた調査研究を本格化させることとした。 以上の理由により、2021年度末時点では、本研究課題の進捗状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度当初の時点では、大学の活動基準において出張自粛等の制限はなくなっているので、訪問調査を本格化させる。その際、調査対象としては、捜査弁護の実践によって被疑者の勾留請求却下率が上昇した地域の弁護士を選んで、訪問調査を実施する。 また、被疑者弁護について、捜査官による被疑者取調べに対する弁護人の立会が制度的・立法的課題として注目されつつあるので、これについて弁護士会等における議論をフォローするよう努める。少年事件や障がいのある被疑者の取調べに弁護人等が立ち会った事例もあるとされているので、弁護人立会の実践例についても、調査を実施することとする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、出張を伴う訪問調査を実施することができなかったので、訪問調査は2022年度に実施することとした。このため、2021年度において使用しなかった旅費及び謝金については、2022年度の予定額と合わせて執行する予定である。
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Research Products
(1 results)