2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01206
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松原 芳博 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (70258581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 一敏 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (30366984)
内田 幸隆 明治大学, 法学部, 専任教授 (60388890)
仲道 祐樹 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80515255)
渡辺 卓也 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (90350454)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 特別刑法 / 刑法理論 / 経済犯罪 / ネットワーク犯罪 / 交通犯罪 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、特別刑法の理論研究が学界全体として不十分であり、そのことゆえに、特別刑法の解釈適用にあたって、「裁判をやってみないとわからない」状況が生じている、という認識から、判断の透明性を高め、体系的に一貫した解釈を可能とするような、特別刑法のあるべき解釈枠組の構築を目指す。 2022年度においては、おおむね2019年から2021年までの特別刑法判例について、網羅的に収集した上で、研究分担者を含む研究者に理論的分析を依頼した。その成果は、松原芳博=杉本一敏編『判例特別刑法第4集』(日本評論社)として公刊した。 研究代表者(松原)は、引き続き特別刑法判例研究会を主宰し、2022年度は4度の研究会を実施し、8名の研究者から知見提供を受けた。また、不法残留罪に関する理論研究を行い、論文化した。 各研究分担者(渡邊、内田、杉本、仲道)は、それぞれの分野についての判例分析を進め、その成果の一部は、前出『判例特別刑法第4集』で公表した。研究分担者(内田)は、営業秘密の保護に関する理論研究を進め、その成果を後掲の論文の形で公表した。研究分担者(仲道)は、著作権法に関する理論研究を実施したほか、医師法に関する最高裁判例について分析の機会を得、その成果を後掲の論文等の形で公表した。 2019年から2021年にかけての特別刑法裁判例の網羅的収集が行えた点、またこれを踏まえて各研究分担者において、理論研究が進展した点が今期の成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、特別刑法の専門研究グループである特別刑法判例研究会と連携した知見提供による効率的な知見拡大と、それを受けた研究代表者、分担者による理論研究からなる。 前者については、オンラインを併用するなどしてコロナ禍による影響を回避し、定期的な知見提供の機会の設定に成功している。その過程で、研究チームに重要判例の情報が集積している。 後者については、それぞれが判例分析の形で『判例特別刑法第4集』で成果の一部を公にしたほか、各自の分担領域での研究成果を世に問うている。 最終年度は、これらの成果をまとめる段階となるが、まとめに入るだけの準備が整ったと評価することができるため、「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度より、本研究課題の成果を、リレー連載の形で公表する機会を得た。研究代表者、分担者のほか、今後この研究課題を発展させるポテンシャルのある若手研究者を含めてチームを形成した。これにより、特別刑法判例研究会に加えて、理論面での研究会を組織することとなり、理論面での検討を発展させる契機となっている。2023年度は、従来の判例に関する知見提供と並んで、このリレー連載の場を主戦場とした理論面でのアウトプットにも注力する予定である。
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Causes of Carryover |
遠方からの知見提供を想定して計上している旅費等について、オンラインでの知見提供を行ったものが多くなったこと、および研究補助者雇用を想定して計上した人件費について、予定していた者が雇用不能となったことから、支出実績が過少となっている。 コロナも落ち着きを見せ、対面での知見提供の機会が増えると想定されること、また本研究課題の理論研究部分について、意見交換の機会が増加することから、支出過少は解消されると想定している。
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