2021 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study of Stepfamilies and the Law in Japan, Canada and Australia
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21K01213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ROOTS MAIA 東北大学, 法学研究科, 准教授 (20754550)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ステップファミリー / 扶養 / 社会的親 / カナダ / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度前期:主に日本におけるステップファミリーでの扶養義務についてのこれまでの議論を再確認し、公表裁判例の分析を行った。特に扶養義務の根拠と性質に関する各学説、同居親或いは別居親の再婚を理由とした養育費の減額の認否が問われた近年の裁判例に着目し、扶養をめぐる考え方について整理した。 2021年度後期:10月末以降、カナダのトロント大学で本格的にカナダ法の研究に着手した。主に(1)ステップファミリーの子の別居実親の扶養義務、及び(2)継親の継子に対する扶養義務について研究した。(1)については、別居実親の場合、子の養育費の額が連邦及び各州の養育費ガイドラインで決まり、極めて例外的な場合にのみガイドラインが定める額の変更があり得る(ガイドラインs. 9やs. 10等)。別居親の再婚、新しいパートナーの間に新たに子どもが生まれたこと、別居親が新しいパートナーの連れ子を扶養していることが、前のパートナーとの間の子の養育費に影響し得るか、するのであれば、どのような場合にどの程度養育費の額が変更されるかについて知るべく、裁判例等の研究を行った。裁判官の裁量が広く、裁判官によってこれらの事実の評価の仕方にバラつきがみられ、前のパートナーと同居している子と、扶養義務者である親と現在同じ家庭で生活している子(継子を含む)の利益をどう調整すればよいかについて、様々な考え方があることが分かった。扶養義務者が複数の家庭に子を持つことについて、興味深い問題提起・議論がされおり、再婚が増えている日本でも問題になっている場面であるため、日本法への有意義な示唆が得られた。(2)については、カナダでは継親と子の同居実親の離別後も、継親がその元継子に対し扶養義務を負う場合がある。具体的にどのような場合にこの義務が認められるかについて研究した。「社会的親」とは何かについて大変貴重な視点を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度前期には、主にカナダ法での継親の継子に対するその他の権利義務(継親が子の日常の世話を行う際の継親の法的立場等)について、研究を続ける予定である。2022年度後期には、オーストラリア法の研究に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナが続いているため、多くの学会が中止となったり、オンライン開催に変わったりしていたため、当初予測していた旅費をあまり使用しなかった。更に、トロント大学の図書館で多くの関連図書その他の資料がオンラインで閲覧可能であるため、その分書籍の購入に与える予定であった金額が思ったより低かった。2021年度の未使用分を、2022年度に予定しているオーストラリア渡航・滞在費用等として使用する予定である。
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