2022 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study of Stepfamilies and the Law in Japan, Canada and Australia
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21K01213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
ROOTS MAIA 東北大学, 法学研究科, 准教授 (20754550)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ステップファミリー / 扶養 / 社会的親 / カナダ / オーストラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度前半に引き続きトロント大学に滞在し、カナダ法の研究を行った。カナダ法における、継親のその継子に対する扶養の権利義務以外の法的権利義務(継親による親権・監護の行使、継親子間の面会交流等)につき補足研究を行った。面会交流については、(継親子間に限らず)ドメスティック・バイオレンス(以下「DV」)があった場合の対応が問題となり、カナダでは活発な議論がされており、様々な仕込むが試みられている。カナダにおける(継親子も含む)親子の面会交流とDVへのアプローチにつき、研究を行い、その成果の一部を公表した。カナダの学説及び実務で広く参照されているDV類型(Separation-Instigated Violence, Coercive Controlling Violence, Violent Resistance, Conflict instigated Violence)の特徴や面会交流事件において注意すべき点等につき、紹介した。日本の面会交流支援等の実務において、参考になると思われる。 2022年度後半には、オーストラリア研究に着手した。2月から、オーストラリアのメルボルン大学で研究を開始した。主に、(1)子を扶養する義務を負う親が再婚した場合の養育費の額の定め方、及び(2)継親のその継子に対する扶養義務の性質につき、研究を行った。(1)については、オーストラリアでは、カナダ法と異なり裁判官の裁量に委ねられているのではなく、決まった数式により、扶養義務者と別居している子に払うべき養育費の額、及び扶養義務者と同居している、新しい家庭の子の扶養に与えるべき金額が決まる。カナダより、それぞれの子が平等に扱われているとの指摘があること、他方で、オーストラリア国内では、当該数式の在り方に対し、扶養権利・義務者の両方及び学者から批判があり、議論され続けていることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カナダでの資料収集及び現地の研究者との交流を終え、カナダ法、特にカナダの養育費をめぐる研究が順調に進んでいる。ビザ取得等との関係で、オーストラリア滞在の開始が、当初の予定より数か月遅れ、2023年2月からオーストラリアに滞在し、本格的にオーストラリア法の研究を開始している。 以上の諸事情により、オーストラリアでの滞在開始が、予定より遅れ、カナダ滞在終了とオーストラリア滞在の開始の間に、3か月間の空白期間が生じた。当該期間は、ドイツのゲーテ大学(フランクフルト市)で滞在研究を行った。ドイツは、カナダとオーストラリアと異なり、大陸法の国であり、法律上の親概念等が、英米法の国と根本的に違う。他方で、社会的親の法的地位や、ステップファミリーの中の親子関係につき、以前から活発に議論されてきている。カナダ法・オーストラリア法・日本法の比較研究を行う際に、有意義なヒントが得られると思われる。このことから、ドイツでの滞在中に、ドイツ法の補足的研究を行いながら、上記比較研究の枠組みや注意点等につき、検討を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、主にオーストラリア法の研究を続ける予定である。当初は、オーストラリアに1年間滞在し研究を行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に関するオーストラリア政府及びメルボルン大学の方針や、受け入れ教員のご都合により、滞在期間を6か月間に変更せざるをえなかった。オーストラリアにいる間、(1)主にオーストラリア法における親(継親を含む)のその子(継子を含む)に対する扶養義務について研究を行い、(2)扶養の場面以外の、オーストラリア法における法律上の「親子」の意味(特にステップファミリーの場面において)について研究・資料収取を行う予定である。2023年度の後期には、日本に帰国し、オーストラリア法の研究を続け、更にはカナダ・オーストラリア・日本法の比較を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当初は、2022年11月から、オーストラリアでの滞在を開始する予定であり、1年間の滞在を予定していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大に関するオーストラリア政府等の政策等の影響で、滞在開始時期及び滞在期間を変更せざるをえなかった。変更後のオーストラリア滞在期間に合わせて、予算の執行にずれが生じた。2022年度の未使用分(特にカナダ滞在終了までに使用しなかった額)を、オーストラリア滞在中に使用できるように計画を立て直した。オーストラリアでの滞在費、書籍購入補等にあてる予定である。
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Research Products
(2 results)