2021 Fiscal Year Research-status Report
民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)改正と物権変動論
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21K01224
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
七戸 克彦 九州大学, 法学研究院, 教授 (00206096)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 民法 / 不動産登記法 / 所有者不明土地 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の科研費研究における研究対象は、令和3〔2021〕年第204回国会で可決成立した所有者不明土地問題に関する2つの立法――「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)・「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)――の、理論および実務に及ぼす影響分析である。 研究期間(3年間)の初年度である2021年度においては、「株式会社ぎょうせい」より新法の解説書(単著)『新旧対照解説・改正民法・不動産登記法』を刊行した。この出版の基本的なコンセプトは、Ⅰ:従来の新法解説書とは異なる切り口で改正法の立法経緯と内容を概観する、理論(研究者)と実務(専門資格者)の双方にとって有用な書籍を、Ⅱ:改正法の公布時期に合わせてタイムリーな形で刊行する、というものである。 このうち、Ⅰの点に関しては、法務省の立法担当者の著作のような「一問一答」形式ではなく、条文の新旧対照表をベースに、改正規定が現行法の編・章・節・款のいずれの個所に配置されているかを明示する形で、改正法の特徴を明らかにする方法を採用した。 一方、Ⅱの点に関しては、書籍の刊行を、新法公布後1~2か月以内に設定したため、令和3年6月20日の初刷発刊段階では、国会での審議の詳細や、施行期日を定める政令等の情報を盛り込むことが難しかったが、幸いなことに売れ行き好調に恵まれ、令和3年9月20日の第2刷、令和4年2月20日の第3刷の段階で、新しい情報を追加する機会に恵まれた。 その他、令和3年12月10日には、福岡県司法書士会「九州大学司法研修講座(第2回)」において「令和3年民法・不動産登記法改正――立法担当者の説明を読む」と題する講義を行い、令和4年1月11日には日本司法書士会連合会のワーキングチームとの間で意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年6月20日に単著『新旧対照解説・改正民法・不動産登記法』(ぎょうせい)を刊行し、同書は同年9月20日に第2刷、翌令和4年2月20日に第3刷を重ねた。 同書は、改正法に関する多くの論稿で引用され、また、司法書士を初めとする士業者から、新法の解説・講演等の依頼が来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間(3年間)の第2年次である2022年度においては、第1に、「有斐閣アルマ」シリーズの共著(千葉恵美子=藤原正則=七戸克彦)『民法2物権』の内容を法改正対応版にリニューアルする(「第4版」刊行)。 第2に、新法公布後に登場した各種の論稿に関する検討結果を、論文にて公表する。 第3に、所有者不明土地問題・相続登記促進問題等に関して、士業者との間での意見交換・新法解説の講演等を行う。目下のところ、令和4年6月4日には埼玉司法書士会、7月23日には福岡県司法書士会、9月(日未定)には東京司法書士会での講演依頼を受けている。
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Causes of Carryover |
支出はすべて図書の購入であるが、購入予定の書籍が年度末までに刊行されなかった。当該書籍は、令和3年度末(令和4年3月31日)時点で刊行されていないが、今後とも刊行されないようであれば、別の書籍の刊行経費に充てたい。
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Research Products
(1 results)