2023 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of the Introduction of Internal Control Reporting with Regard to Both Incorporated Associations and Foundations and to Local Government
Project/Area Number |
21K01225
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
長畑 周史 横浜市立大学, 国際商学部, 准教授 (30515078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 和之 順天堂大学, 健康データサイエンス学部, 准教授 (70548148)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 内部統制 / 内部統制報告書 / 監査報酬 / 判別プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、内部統制報告書制度の効果を実証分析により明らかにし、その上で内部統制報告書制度が導入されていない非営利法人や地方自治体の内部統制への導入可能性を検討するものであった。しかし、これらの先行研究では制度導入後に、資本に対する会社収益が増加するかどうかといった制度導入に対する積極的な影響(いわゆる、攻めのガバナンス)を実証するものであった。しかし、法学的観点から研究をする長畑には、内部統制制度の導入契機となるのは大きな企業不祥事が発生した時であり、その時要請されているのは、いかに企業不祥事を未然に防止するかといった消極的な影響(いわゆる、守りのガバナンス)であることから、大きな違和感を感じていた。このため、消極的な影響について明らかにしたいと考えたが、そもそも、消極的な効果は、例えば、内部統制が適切に設置された結果として、不正が未然に防止されれば、有価証券報告書や内部統制報告書といった書類や数値に現れることはなく、その効果の実証は困難であった。 このため、本研究では、制度自体の効果検証から、内部統制報告書制度の形骸化と監査報酬の関係を実証的に明らかにする方向に修正した。その研究の結果、内部統制報告書で内部統制が有効でないとされる企業については、不正発覚前の監査報酬が低いという相関があることが明らかとなった。本研究成果は、現在公表準備を行っている。 さらに、上述の研究過程で不正を行った企業を特定する必要があったことから、共同研究者の知見により、文書判定の技術を応用して、内部統制報告書のEDINETからの自動取得およびeolより取得した文章から自動判別するプログラムを開発し、第4回内部監査学術研究発表大会にて発表した。プログラムはすでに無償公開しており、研究成果は公益財団法人内部監査研究所の「内部監査」7号に掲載予定である。
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Remarks |
長畑周史=小泉和之=根本大地「内部統制報告書制度の形骸化の検討(2)ー主に内部統制報告書の有効性と監査報酬の観点からー」2023年9月30日東北大学商法研究会 長畑周史=小泉和之=飯塚大智「内部統制報告書制度の形骸化の検討」2022年3月26日東北大学商法研究会
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