2022 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on legal theory of Contract for Young Consumers by the age of Majority to be Lowered
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21K01231
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
坂東 俊矢 京都産業大学, 法学部, 教授 (40189733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 諭 佐賀大学, 経済学部, 教授 (00284604)
谷本 圭子 立命館大学, 法学部, 教授 (00288614)
大本 久美子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30548748)
カライスコス アントニオス 京都大学, 法学研究科, 准教授 (60453982)
河上 正二 青山学院大学, 法務研究科, 客員教授 (70152923) [Withdrawn]
高嶌 英弘 京都産業大学, 法学部, 教授 (70216646)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 成年年齢引下げ / 契約トラブル / 未成年者 / 民法 / 消費者法 / ぜい弱な消費者 / 消費者教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年4月1日、民法の成人になる年齢をそれまでの20歳から18歳に引き下げる民法の改正法が施行された。本年度の研究は、その変化を踏まえて、具体的に若者、とりわけ18歳、19歳の若者の消費者契約の実際とそれに関するトラブルがどのように変化しているのかを調査、研究することにあった。 具体的には、3回の研究会を行った。令和4年10月21日には、高嶌教授による「医旅契約への消掛者特別法の適用が問題になった近時の裁判例」と題して、美容利用契約に消費者契約法の適用が問題となった事例について報告を受けた。11月10日には、谷本教授によって「若者に対する与信契約とその課題」という報告がなされた。いずれに研究会も、関西の消費生活相談員などが会員のNPO消費者ネット関西と共催でオンラインで開催し、美容医療や与信契約に関する若者からの相談の傾向などを踏まえた議論がなされた。また、令和5年3月1日には、澤村美賀さん(消費生活相談員協会関西支部長)をお招きして「契約とキャッシュレスの実態調査から考える若年者の消費者行動」という報告を受け、小中高校での消費者教育の現場で実施した消費生活に関する若者の調査に基づいたデータをもとに、それらの実態を踏まえた法の考え方について議論をすすめた。なお、この研究会はリアル(対面)とオンラインを併用して実施した。 また、消費者契約に関する若者との直接の対話を意図して、坂東教授が消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(通称NACS)の「Z世代と語る消費者問題」というNACS Forumの企画と運営に直接にかかわった。Forumは令和5年2月25日にリアルとオンラインの併用で実施され、美容医療とマルチなどの投資的取引にかかわる若者の意識と契約の実態について、若者の意見を踏まえた活発な議論がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究会の形式での議論は順調であり、活発な議論がなされている。但し、研究会は当初はオンラインで開催されることとなったため、必ずしも踏み込んだ調査に基づいた議論ができるまでには至っていない。また、そのための研究会としての若者の契約に関するトラブルの実態調査を実施することはできていない。また、この研究のひとつの基盤であり、当初は令和4年度に実施を予定していた海外調査についてはコロナ禍の下での調査ということもあり、具体的な準備を着手した段にとどまっている。今後、こうした研究をすすめることで、具体的な成果につなげていく必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度も、これまで実施してきた、若者をめぐる契約に関するトラブルの実態とそれに対する法や消費者法教育の対応について研究を深化させる。特に、美容医療、マルチなどの投資取引、ネット取引とそれらの契約の決済手段としてのクレジットやキャシュレス決済をめぐる若者の意識とそこから生ずるトラブルの調査と分析とをすすめる。また、それに加えて、若者の契約に関するトラブルの多くが、SNSやネットでのターゲット広告あるいはインフルエンサーが提供する情報によるステルスマーケッティングなどが端緒となっている事実が明らかになったことから、広い意味での広告に関する問題についても研究課題としての焦点をあてる。 また、できるだけ早期の段階に、18歳への被選挙権の付与に関する憲法改正についての国民投票を行って、それが否決された台湾の若者をめぐる法制度と法教育それに契約トラブルへの対処などの調査を、台湾を訪問することで実施する。現在、台湾の窓口として、複数の消費者法に詳しい弁護士及び台湾最大の消費者団体である消費者文教基金会との調整をし、具体的な準備をしている。 こうした研究成果を改めて原稿にまとめるとともに、調査資料なども含めた資料とともに、出版に向けた準備に取りかかりたい。
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Causes of Carryover |
若者の消費者トラブルと法制度に関する海外調査を実施することが、コロナ禍の影響などで、できなかったため。現在、令和5年度に台湾の法制度と消費者法教育の調査を実施するために、消費者法と政策に詳しい弁護士及び台湾で最大の消費者団体である消費者文教基金会との間で調整を行っている。令和5年9月に調査を実施できる予定である。
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