2021 Fiscal Year Research-status Report
A Consideration of the Business Succession Trust
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21K01241
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
温 笑トウ 東北大学, 法学研究科, 教授 (80754548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石綿 はる美 一橋大学, 大学院法学研究科, 准教授 (10547821)
長戸 貴之 学習院大学, 法学部, 准教授 (90632240)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 事業承継 / 信託 / 構造上の利益相反 |
Outline of Annual Research Achievements |
実績1:温笑とう「指図権者を利用しない事業承継型株式信託における受託者の義務」法学85巻1号(2021年)41頁以下を公表したことである。同研究は,事業承継型株式信託において,後継者が自ら受託者を務める場合の受託者の義務について検討した。結論として,後継者による受託者と会社の経営者の兼任を認める事業承継型株式信託のスキームは,構造上の利益相反として例外的にその効力を認めるべきである。また,受託者は,承継した事業の存続と発展のために受益者の利益を犠牲にすることは,直ちに忠実義務違反にならないと指摘した。 実績2:2021年4月1日に「相続プランリングと信託研究会」にてアメリカにおける信託の特徴と設定について報告を行なったことである 実績3:2021年9月10日に「東北大学信託法研究会」にて「後継者不在の中小企業のための新しい事業承継信託の構想」を題とする研究報告を行なったことである。同研究は、後継者不在の中小企業の事業承継における問題を解決するため、従来検討されていた自然人を指図権者とする事業承継信託のスキームの限界を指摘した上、海外の経験を参考して、家族理事会及びファミリーオフィス制度の導入を提言したものです。実効性のある新しい事業承継信託を構想したものとして意義を有する。 実績4:2022年3月3日に「相続プランリングと信託研究会」にて永久拘束禁止則と信託の存続について報告を行なった。 実績5:2021年6月に長戸貴之先生が「佐藤英明著『新版信託と課税』」法研究第45号(2021)1頁以下を公表したことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、初年度において日本の事業承継信託を対象に調査と研究を行うことと計画していますが、その部分はほぼ完成していることに加え、本来次年度以降に調査予定のアメリカ法及び中国法についてもある程度の調査が実施されたため、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
アメリカと中国における事業承継信託の実態についてさらなる調査を行い、とくに、現在問題となっている後継者不在の中小企業の承継問題に対処して、外国で利用されている制度の導入の可否について検討し、論文を公表する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で、ほとんどの会議がZoomで行なったこと、また資料などもすでに以前の経費で買ったデーターベースの利用可能期間がまだ残っていたこと、パソコンやノートブックなどの研究用物品も別の科研費ですでに購入済みであることなどで、次年度使用額が生じました。 特に、石綿教授に関しては、出産と育児のため、研究の一時停止が余儀なくされたことなども影響しています。
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Research Products
(2 results)