2023 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study of Public Guardianship Support for the Elderly Living Alone: A Swedish Perspective
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21K01277
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
藤村 賢訓 福岡大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (50389384)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 公的後見 / godmanskap / IMCA |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から継続してスウェーデンにおける意思表明困難な高齢者の公的支援に関する制度の分析を継続しており、とりわけ親子法11条4(11 kap.4,Foldrabalken)の規定する特別代理人(godmanskap)の具体的手続きにつき、関係文書数点を入手し、翻訳分析の上整理している。スウェーデンにおける同条のグードマンは、判断能力の不十分な子への後見的役割も併せて有している関係から、英国における独立意思能力代弁人(IMCA)と同様、広く意思表出困難な主体への代弁支援という視野から、成年・未成年後見を問わず、一括して司法外の独立機関が管轄する点で共通性があることが判明した。この視座から9月に『福岡家族法研究会にて英国制度からの示唆につき研究報告離別後の子の処遇決定時の「子の最善の利益」と子の意見尊重に関する比較法的検討』として行うとともに、スウェーデンも含めた意思表明困難者全体の支援の在り方につき、本学紀要にて論文『離別後の子の処遇決定における子の意見表明権の尊重に向けた課題 : 英国司法省報告 (ハームレポート) を契機として』福岡大学法学論叢68巻4号 p. 671-693を掲載した。 なお紀要論文については紙幅の関係でスウェーデンにおける特別代理人について十分触れられなかったこともあり、本年5月に研究会にて報告の上、出版社発行の学術論文集に掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在入手しているスウェーデン関係文献・行政機関資料の翻訳整理はおおむね完了し、本年度は、得られた知見につき広く共有し段階であるため、おおむね順調であるとした。なおスウェーデン現地調査については、コロナ・為替による渡航費用捻出の困難に加え研究執行者本人の体調を踏まえ、遠隔システムによる情報共有、各種報告書の入手で代替することにし、かつ十分な資料の入手が達成できたことにより、現時点で実施は見合わせている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年5月の民法学研究会(同志社大学)での報告を経て、学術論文を掲載することが決まっており、併せて福岡地区の自治体と連携したNPO法人高齢者・障害者安心サポートネットに参加し、県内自治体での後見支援、別府市社会福祉協議会の市民後見事業と関わりながら、公的後見の課題について学術集会を開催することを予定している。 またスウェーデンおよび国内行政機関の非司法型公的後見視点について比較検討し、独居高齢者へのかかわりの課題に特化した論稿につき、3月発行の紀要にて掲載することを予定している。
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Causes of Carryover |
スウェーデン王国での現地調査ができなかったため、インターネットを通じた各種資料の収集及びメールやZOOMを介した調査に変更したため残額が生じることとなった。本年度においては公的後見の実態および課題把握のために可能な限り複数の国内自治体に公的後見政策の実施状況につき訪問調査を行うとともに、スウェーデンとの比較検討を通じて得られた示唆につき、家庭裁判所等実務機関を含めた研究会や学術集会にて広く還元することを計画しており、その費用として執行したいと考えている。
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