2021 Fiscal Year Research-status Report
The Role of Government, Citizen, and Business in Climate Change Litigation
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21K01282
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
牛嶋 仁 中央大学, 法学部, 教授 (50268968)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 気候変動 / 気候変動訴訟 / パリ協定 / 法の支配 / 司法審査 / 人権 / 市民 / 自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年、2021年に下された世界の新たな気候変動訴訟判決及び当該判例を扱った資料について検討するとともに、国内外大学・機関主催のオンライン研究会に参加し、国内・諸外国研究者の分析・評価を聴取した。 2021年7月、IUCN(国際自然保護連合)環境法アカデミー年次大会にて研究成果の公表を行った。所属大学とフランス・エクスマルセイユ大学との合同シンポジウム(2020年11月)における日欧の気候変動法政策に関する小報告の内容を英文・和文により公表した(2022年3月。別掲「研究発表」参照)。 上記2021年度の研究は、2022年度における国際学会報告及び海外における研究・調査の基礎となる。 2021年度の研究によって明らかになったことは、気候変動訴訟が特定の国・地域の特別な訴訟類型であるわけではなく、広く観察されることであった。いわゆるstrategic climate change litigationと呼ばれる類型(政府等の気候変動政策自体を争う気候変動訴訟)は、global southにも見られ(ただし、日本のようにあまり見られない国があり、その原因分析は、本研究のテーマの一つである)、かつ研究者・実務家によって広く参照されている。訴訟数の多いアメリカ合衆国では、必ずしも結果として原告の請求が認められているわけではないが、その政策等への影響は少なくないと考えられ、この(判決効ではない)事実上の影響に関する分析は、本研究のテーマの一つである。2022年度以降は、各国・地域の訴訟上の請求・理由や判決がどのような'transnational climate change litigation jurisprudence'を形成しているか、市民団体や自治体の役割に関連づけながら、実地調査をふまえて検討していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の状況により国内の「実地」調査が実現していないことを除いて、資料分析や研究成果の公表などについては、研究計画のとおり進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外のCOVID-19の状況次第であるが、現時点(2022年4月)では、研究計画のとおり、以下を予定している。 2022年7月、IUCN(国際自然保護連合)環境法アカデミー年次大会にて研究成果の公表を行う予定である。 2022年度後半には、気候変動訴訟研究を行っている諸外国研究者との交流・ディスカッションを進めるとともに、現地調査も行いたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、2点ある。 第一に、COVID-19の状況により、国内旅費を使用しなかった(第2年度以降に使用)。第二に、本研究課題と一部が重なる研究課題に関する学内研究費によって研究費を支出したため、その部分について本研究費を使用しなかった。これは、科学研究費申請額に対して配分・支給額が減額されたため、研究第2年度以降の研究計画を申請時計画どおり適切に実施するための方策である。
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Research Products
(4 results)