2021 Fiscal Year Research-status Report
水資源の統合管理に関する法理論研究―渇水と水害のリスクに対応可能な管理計画の理論
Project/Area Number |
21K01286
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
宮崎 淳 創価大学, 法学部, 教授 (30267489)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水循環基本法 / 流域治水関連法 / 流域治水 / 地下水マネジメント / 水循環基本計画 / 土地所有者等の責務 / 地下水法 |
Outline of Annual Research Achievements |
気候変動の影響により激甚化する水害対策として、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実効性を高める法的枠組みである流域治水関連法が、2021年5月に制定された。また、本法成立の流れを受けて同年6月には、水循環基本法が一部改正された。 本年度の研究では、これらの法整備を踏まえ、水循環基本法一部改正法によって追加された地下水規定の意義を明らかにするとともに、同法と流域治水関連法との関係について考察した。 水循環基本法一部改正法による地下水に関する追加規定は、水循環基本計画で定められた地下水マネジメントにつき、その法的根拠を明示するとともに、各地方公共団体への展開を基礎づけ、同マネジメントの要点を示していると解される。 流域治水の法的枠組みを支える理念は、水循環基本法3条4項が定める「流域に係る水循環について、流域として総合的かつ一体的に管理」することである。したがって、水循環基本法は、流域治水に関する諸法を束ね、これらに水循環という共通の理念と施策の基盤を与えるものであるため、流域治水関連法の枠組みにある法律を水循環基本法の個別法として位置づけることも可能である。 流域治水における土地と水の密接不可分な関係から明らかなように、土地が水循環の基盤を構成することを認識して、健全な水循環の維持又は回復を図るために、水循環基本法においても改正土地基本法6条と同様に、土地所有者等の責務が定められるべきであった。さらに、当該責務は実効性を伴う責任として捉えられるべきであるから、水循環基本法の理念に基づき土地の利用と地下水の保全との関係について整序する、地下水法に関する研究を進めていくことが今後の課題であると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度に水資源管理に関する重要な法整備がなされ、それに対応する研究を行ったため、当初の研究計画の一部を変更することになった。 また、感染症防止対策のための活動制限により現地調査ができなかったことから、それに係る研究について予定通り進捗していない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた現地調査を行うとともに、2021年度の研究成果に基づき地方公共団体による条例や流域における水資源管理の実態調査を視野に入れて、統合管理の法理論研究を進めていく予定である
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Causes of Carryover |
2021年度に水資源管理に関する重要な法整備がなされ、それに対応する研究を行ったため、当初の研究計画の一部を変更することになった。また、感染症防止対策のための活動制限により現地調査が実施できなかった。 次年度は、当初予定していた現地調査を行うとともに、2021年度の研究成果に基づき地方公共団体による条例や流域における水資源管理の実態調査を行うために、直接経費を使用する計画である。
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[Book] 森林と法2021
Author(s)
共著(小賀野 晶一=奥田 進一編著)
Total Pages
168
Publisher
成文堂
ISBN
9784792334130