2023 Fiscal Year Research-status Report
水資源の統合管理に関する法理論研究―渇水と水害のリスクに対応可能な管理計画の理論
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21K01286
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
宮崎 淳 創価大学, 法学部, 教授 (30267489)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流域治水 / 土地制度改革 / 土地基本方針 / 土地の適正利用 / 貯留浸透対策 / 氾濫原減災対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
流域治水関連法が成立した2021年は、土地制度改革の区切りの年でもある。流域治水と称される治水政策の転換は、水災害の頻発化・激甚化への対応として、また土地制度改革は所有者不明土地問題を契機として行われたため、治水と土地に関する制度改革は一瞥すると別個のものとして議論されてきたかのように見える。しかしながら、これらの改革は、治水と土地の法制度の密接不可分性を基礎に展開されている。このことは、2021年に改定された土地基本方針において、適正な土地利用の観点から水害対策に関する記述が追加されていることからも理解できる。 同方針では「水防災に対応した適正な土地利用の推進のための計画」との項目を新たに設け、流域水害対策計画を策定する対象河川に、自然条件により河川整備で被害防止が困難な河川を追加して本計画の拡充を図り、流域治水の観点から水防災に対応した適正な土地利用を推進することについて述べる。これを法制化したものが、流域治水関連法といわれる法的枠組みである。したがって、同法は、治水対策として流域を構成する土地の適正利用に関する施策を定めた点にその特徴があるといえる。 具体的には、流域治水における貯留浸透対策では、土地のもつ公益的機能を発揮させるために、雨水の貯留機能を有する土地を保全したり、かかる機能を阻害する行為を制限したりして、土地の適正な利用を図っている。また、氾濫原減災対策では、氾濫原の土地がもつ水害リスクを低減させるために、開発行為や建築を制限することにより当該土地の適正な利用を促している。これらのことから、治水と土地の制度改革は、気候変動を踏まえた治水対策として、流域における水循環を意識した土地の適正利用を促進するものであると考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
健康上の理由から当初の計画通りに調査研究が進まなかった。そのため、補助事業期間を延長して、研究に取り組むことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究期間を考慮して、当初に想定した研究の計画内容を変更した。気候変動を踏まえた水害リスクに対応可能な治水と土地の法制度に関する研究を中心に進めていく方針である。
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Causes of Carryover |
健康上の理由から当初の予定通りに研究が進まなかったため、補助事業期間を延長することとなった。そのため、次年度使用額が生じた。気候変動を踏まえた水害リスクに対応可能な治水と土地の法制度に関する研究を中心に使用計画を組み立てた。
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