2021 Fiscal Year Research-status Report
先進諸国のシングルマザー、非正規労働者、雇用と所得の格差ー社会投資政策効果の検証
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21K01300
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
坂本 隆幸 明治学院大学, 国際学部, 教授 (10298557)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 社会投資政策 / 教育政策 / 積極的労働市場政策 / 家族支援政策 / 非正規雇用 / シングルマザー / 所得格差 / 雇用格差 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、欧州連合を中心に先進諸国で近年、重要政策に掲げられている「社会投資政策 (social investment policy)」が、 政府が期待するように、ひとり親家庭、非正規雇用、教育格差などの新しい形の社会リスク(new social risks)を軽減することができるのかを理論的、実証的に明らかにすることである。先進諸国政府は、同政策が人的資本投資を促すことによって、① 知識集約的な新しい経済や技術革新に適応できる、高技能な労働者を養成し、② 経済成長を確保するだけでなく、③ 労働者の失業、世帯の所得格差の問題を緩和し、④ ひとり親家庭、非正規雇用、教育格差などの新しい社会リスクを緩和することことを期待している。
本年度は、データ分析を進め、現在2つのサブプロジェクトの分析結果を2本の研究論文にまとめる作業をしている。1つ目の研究は、社会投資政策がシングルマザーの貧困率を抑制できるのか否かの分析である。育児休暇手当が再分配前の貧困率を下げることが判明していてそれは理論的に予想されたとおりなのだが、教育支出が再分配後の貧困率を抑制するという結果が出ている。この結果自体はいいことなのだが、なぜ再分配前でなく後の貧困率に効果があるのか説明が容易でない。この結果はロバストであり、分析に誤謬があるということは考えにくい。また、同様の結果が勤労世帯全体の分析結果にも出ている。このことの理論的説明を進めることが重要な課題である。2つ目は、社会投資政策が非正規雇用にいかなる影響を与えるのかの分析である。これも理論的に説明がつきにくい結果が出ている。この分析も精力的に進めていかなければならない。これらの分析をスピード感を持って進める。分析結果が出次第、学会で発表し、批評やコメントを得て、研究の質を確保する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
母子家庭、非正規雇用の分析と同時に進めていた、勤労世帯全体の貧困、所得格差の規定要因の分析と結果の報告に予想以上の時間がかかり、母子家庭、非正規雇用の分析にあてられる時間が限られてしまった。この両分析は互いに同様に重要であるので、ある程度の時間の制限が生まれてしまうので、今後時間の確保をどのように行うかが課題だ。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の申請を行ってから1年半が過ぎ、その間に本研究の研究課題に関連する研究結果が、他の研究者らによって発表された。今後の研究のはじめの作業は、これら新しい研究結果をサーベイ、考察し、本研究に取り入れていくことである。第2に、貧困率の規定要因を分析する際に、マクロレベルの要因だけでなく、個人レベルのミクロ要因を取り入れていかなければならないかもしれない。それが本研究の分析にどれだけ有用なものか考察、検討していかなければならない。第3に、様々な形の非正規労働のデータが予想したものとは違うもので、なぜそのようなパターンを見せるのかを考察していかなければならない。やらなければならない課題ばかりだが、その一つ一つを丁寧に、かつスピード感を持って遂行していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、予定していた現地調査ができなかったのと、他の研究プロジェクトに時間を取られてしまったため。
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Research Products
(1 results)