2021 Fiscal Year Research-status Report
金正日政権期における朝鮮労働党の支配:新資料と新証言による接近
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21K01302
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
礒崎 敦仁 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (40453534)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 北朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「先軍政治」が掲げられた金正日政権下における朝鮮労働党の支配の実態を明らかにすることにある。社会主義体制研究において党の支配を検証することは重要であるが、金正日政権期の北朝鮮については資料的制約ゆえに先行研究が薄い。党総書記に推戴された金正日のリーダーシップや、極度の貧困に伴う党細胞の機能不全に関心が集中し、党の頂点である総書記と末端の細胞を繋ぐ党中央委員会や地方党の構造や役割については看過せざるを得なかったのである。 そこで研究初年度には、党大会が一度も開催されず、「党の機能が麻痺した」と評されてきた金正日政権期における「党の支配」を探求すべく、金正日政権前期における地方党機関紙を入手し、党中央委員会機関紙の報道ぶりとの比較検証に着手したが、現段階では地方党の会議開催など独自の動きは明確になっていない。一次資料による検証は少しずつ進めることができたものの、党中央委員会などで勤務経験がある高位級脱北者への意見聴取は新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響により国外出張が難しい状況が続いたため、計画通りに進めることができなかった。なお、金正恩政権下では党規約が改正され、その内容が流出したため、精訳のうえ公刊した。前政権下における党規約との比較検討を行なうとともに、朝鮮労働党が他の社会主義国家の共産党との比較において、いかに位置付けられるべきかについても初歩的な検証を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの世界的な感染拡大の影響により、現地調査・意見聴取が停滞したものの、資料の入手と検証は比較的順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
朝鮮労働党の会議・行事の開催について事実関係の確認を行い、幹部人事については各報道における紹介順序や肩書の変化を整理する。中央党と地方党との関係については、時間を掛けて論調分析を進める。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルス感染状況に伴い、計画していた国外出張ができなかったため、次年度に旅費などで使用する。
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