2022 Fiscal Year Research-status Report
金正日政権期における朝鮮労働党の支配:新資料と新証言による接近
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21K01302
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
礒崎 敦仁 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (40453534)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 北朝鮮 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「先軍政治」が掲げられた金正日政権下における朝鮮労働党の支配の実態を明らかにすることにある。社会主義体制研究において党の支配を検証することは重要であるが、金正日政権期の北朝鮮については資料的制約ゆえに先行研究はけっして厚くない。党総書記に推戴された金正日のリーダーシップや、極度の貧困に伴う党細胞の機能不全に関心が集中し、党の頂点である総書記と末端の細胞を繋ぐ党中央委員会や地方党の構造や役割については看過せざるを得なかったのである。 研究2年目は、党大会が一度も開催されず、「党の機能が麻痺した」と評されてきた金正日政権期における「党の支配」を探求すべく、金正日政権前期における地方党機関紙を党中央委員会機関紙の報道ぶりと比較しながら検証を進めた。一次資料による検証は徐々に進めることができたものの、意見聴取については当初の予定通りに進めることができなかった。 研究成果をまとめるにはさらに時間を要するが、前段階として金正日政権期の北朝鮮政治体制を研究するのに必要な資料について整理し、その意義について活字化することができた。『労働新聞』や『勤労者』など北朝鮮側資料の読み解きはその主張を無批判に取り入れるものではけっしてないが、研究分野によってはその手法に批判もないわけではない。しかし、政治エリートによる十分な証言が得られない状況下で体制側の論理を解明するためには、プロパガンダの検証が早道であることを再確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一次資料による検証は徐々に進めることができたものの、意見聴取については当初の予定通りに進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
朝鮮労働党の会議・行事の開催について事実関係の確認を行い、幹部人事については各報道における紹介順序や肩書の変化を整理する。中央党と地方党との関係については、時間を掛けて論調分析を進めることになる。
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Causes of Carryover |
既に入手した資料の検証に時間を要したために次年度使用額が生じたが、次年度以降に国外出張旅費などで支出する計画である。
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Research Products
(2 results)