2023 Fiscal Year Annual Research Report
Public Service and Policy Evaluation in the Post-Corona Era: Case Studies in Essential Work
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21K01311
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山谷 清志 同志社大学, 政策学部, 教授 (90230599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 圭多 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (60755388)
湯浅 孝康 大阪国際大学, 経営経済学部, 准教授 (20897095)
鏡 圭佑 朝日大学, 法学部, 講師 (00910449)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政策評価 / 政策決定 / 専門家の役割 / 比較政策論 / 比較政策評価論 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究によって政治と政策の関係がよく見え、COVID-19対応政策を形成する際の専門知識の役割を探ることができた。それは政策を指導する役割、政府の政策判断を批判する役割、政策を管理する行政機関の補助、政策決定者地震の補佐である。政策決定者がその決定を正当化するために専門知識を利用する方法についても観察できた。 他方、政策評価には限界が見られた。資料収集において他人との接触が制約されたので、政策評価のために行う情報収集能力は大きく減退した。参加型評価においても、その収集が不可能であった。既存の統計データの再利用が難しいことも反映した。法律や制度で決まっている統計は、政策評価を前提として集めていないからである。このような場合評価には倫理的懸念が生まれる。すなわち情報収集・データ収集やそれらの分析を、どの程度手間暇かけて行うのかの規律が、COVID-19を言い訳に、緩むと言うことである。 なお、比較政策学、比較政策評価論にとって、大きな研究材料になった。新型コロナ禍においては地方分権と中央集権のいずれが政策決定・政策実施に適合しているのか、予算(資金提供・補助金・助成金)以外の政策手段を展開する場合にどのような選択肢があるのか、強権的な規制(法令に基づき処罰もある)と、曖昧で緩やかな規制(お願いや依頼で当事者に判断を委ねる方法)と、何もしない(規制しない)といずれが有効だったのかが実態としてよく観察できたからである。 新たな研究課題は以下である。COVID-19対策で日本政府は基金や予備費を乱発し政策動員した。その結果、財政規律が緩くなったが、それだけではなく粗悪で悪構造の政策が増大することにもなった。府省が大きな予算を取って政策を決めるが、その実施は民間事業者に丸投げする場合である。政策評価研究の出番は増えるとの確信を、この研究で得られた。
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