2021 Fiscal Year Research-status Report
選択権者理論の実証分析―非選出議席は権力維持に寄与するのか?
Project/Area Number |
21K01319
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
鎌原 勇太 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 准教授 (70710268)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 比較政治学 / selectorate theory / 測定 / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
いかなる政治体制であれ、権力者の主な目標は権力の維持である。そのためには、権力者を選択する選択権者(selectorate:S)と実際に現職を選択した勝利連合(winning-coalition:W)の存在が重要となる。この「選択権者理論」(selectorate theory)は長らく注目されてきたものの、概念化と定量化が不十分であることから、2021年度は、選択権者理論と本研究課題で注目している割当議席に関する先行研究の現状把握を行った。その結果、SやWの概念化や操作化に関して、割合に注目してきた選択権者理論の提唱者に対して、SやWの構成に注目すべきであるという強い批判が存在することが明らかとなった(Gallagher & Hanson 2015)。つまり、本研究が偶然注目していた議席割当にもとづく勝利連合の構成と一致している。 さらに、ジェンダーに基づく議席割当と民族に基づく議席割当の共通点と相違点を把握するとともに、前者に基づく議席割当に関するデータベース(Hughes, et al. 2019)を確認した。そのうえで、Kamahara, et al. (2021)で得られた民族割当議席に関する知見や菊池(2014)の表1に示されているジェンダークォータに関する体系的な比較から、ラテンアメリカ諸国は、女性議員や民族に基づく多様な割当議席制度を有していることが明らかとなった。そのため、2021年度末からラテンアメリカ諸国の資料収集を開始し、2022年度よりラテンアメリカを対象としたデータベース構築を本格的に進めることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度研究実施計画どおり、SとWの概念の精緻化を進めた。データベースの構築自体はまだ本格化はしていないものの、実施計画にはなかった当初対象国の選定(ラテンアメリカ)が進み、2022年度以降のデータベース整備は順調に進むことが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画どおり、 2022年度は、RAとともに引き続き、ラテンアメリカ諸国を中心にデータベース構築を実施する。 2023年度・2024年度は、作成したデータベースの整備とともにパイロット版の分析や学会報告、ジャーナル投稿を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
RAの在宅勤務に伴う交通費の節約等により、申請時に比べ人件費での支出が当初見積もりよりも少なくなった。なお、2022年度交付額は他の年度と比較して少ないものの、RAの雇用期間は2021年度の半年から1年間に変わるため、未使用額は2022年度の人件費に充当する予定である。
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