2021 Fiscal Year Research-status Report
ドイツ・韓国における兵役拒否者/運動の比較研究 -立憲主義的観点から-
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21K01338
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
市川 ひろみ 京都女子大学, 法学部, 教授 (50281754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
シン ヒョンオ 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (40815487)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 兵役拒否 / 人権 / 国家安全保障 / 韓国政治 / ドイツ政治 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はコロナ感染が収束しなかっため、ドイツ及び韓国における調査を行うことができなかった。また、研究代表者の学内業務量が急増したことにより、文献研究も予定通り進めることができなかったが、アジアにおけるキリスト教徒による兵役拒否の事例について研究を進めることができた。 2021年12月、研究分担者はは愛知大学で行われた日本平和学会・国際交流委員会主催の「日中平和学オンライン交流会-東アジア平和学対話への襷リレー」において、韓国の状況(兵役拒否を含む)について報告した。 2022年1月に京都女子大学において研究会を開催した。研究分担者は、韓国における兵役拒否について歴史・法・判例・運動の観点から概要を整理した。研究代表者は、アジアにおけるキリスト教徒による兵役拒否の事例として、明治以降敗戦までの日本で兵役を拒否し、記録が残る12名を取り上げて報告した。各人の信仰と国家が求める義務との葛藤、日本におけるキリスト教や人権意識の受容、徴兵制の国民の監視統合機能など社会的な構造についても分析した。 また、研究代表者は、兵役拒否について歴史的展開をHistorical Development of Conscientious Objection and its system: An Analysis from the Perspective of Aporia, Hiroshima Peace Science, 43(2021), pp.67-87. として公表した。これは、韓国、ドイツの研究者と意見交換する際の基本的な資料となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者が2021年度から学部長職に就任したため、研究に費やすことのできる時間が大幅に減少したことに加え、当初予定していた海外での調査が新型コロナ感染状況が改善せず、出入国規制が厳しく行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の計画 研究代表者は、アジアにおける兵役拒否の事例について歴史的な資料を用いて分析し、西欧に起源を有する兵役拒否がアジアではどのように展開したのかについて研究を進める。徴兵制が停止されているドイツでは連邦軍兵士による兵役拒否(武力行使への良心の葛藤)および選択的兵役拒否(違法な命令への不服従)についての情報収集を行う。兵役拒否当事者および支援者、研究者へのインタビュー調査の準備を進める。研究分担者は、韓国の兵役拒否について、引き続き文献研究を進めると同時に、2022年度に現地での当事者および支援者、研究者へのインタビュー調査を行えるよう先方との連絡等準備を行う。研究代表者と研究分担者は協力して、現地での調査内容について事前に検討し、調査を行い、結果については研究会を開催して報告する。研究会では、政治思想・憲法を専門とする研究者および自衛官の人権保障の裁判にかかわった弁護士にゲストスピーカーとして参加いただく。これらの研究の中間報告として学会(日本平和学会、日本比較政治学会、憲法学会のいずれか)で報告を行う。 2023年度 研究代表者・研究分担者は、2022年度の研究および学会での指摘を土台としてさらに精緻な研究を行う。ドイツ・韓国の兵役拒否当事者、支援者、研究者との議論を深め、兵役拒否を普遍的な課題として一般に紹介するために京都女子大学においてシンポジウムを開催する。これらの研究成果は国際学会(International Peace Research Associationなど)で報告し、論文を執筆する。
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Causes of Carryover |
ドイツ及び韓国における調査を行うことができなかった。また、研究代表者の学内業務量が急増したことにより、文献研究も予定通り進めることができなかっため。
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