2022 Fiscal Year Research-status Report
公示期間におけるインターネット情報への選択的接触が政治意識におよぼす影響
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21K01340
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
白崎 護 関西外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30362560)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 2022年参議院選挙 / ウクライナ危機 / 安全保障 / 世論調査 / 機械学習 / Super Learner / TMLE / 第三者効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
第26回参議院議員通常選挙の期間のメディア接触と対人接触が有権者の政治的な意識と行動へ与える影響を知るため、ウェブで2波の全国パネル調査を行った。事前調査は公示日(6月22日)直前の16日から18日、事後調査は投票日(7月10日)直後の12日から21日の期間である。調査会社に登録する18歳から99歳の有権者のうち、サイト閲覧データの提供に同意した男女各284017・468941人より2021年総選挙時の有権者男女比率 (48.5:51.5)に従い標本を抽出する。計画標本規模は事前・事後各2400・2200、回収実績は事前調査が男1287人(48.7%)・女1356人(51.3%)、事後調査が男1175人(49.8%)・女1183人(50.2%)である。市場調査会社であるマクロミルに調査を委託した。 問題意識は以下である。日常は実感しがたい安全保障の効用に関する認識はメディアに大きく依存する。すると、安全保障の強化の代償をめぐる認識もまたメディアに依存する。したがって、以上2点の認識に対してメディアがおよぼす影響の検証は「認知領域での戦い」を左右する。ウクライナ危機と台湾有事への警戒に端を発した安全保障(エネルギー・食料安全保障を含む)上の障害は、日本においてメディアが有権者の安全保障意識におよぼす影響の考察の重要性を高めた。そこで、メディアが公職選挙法151条3項および関連する業界・自社の規定に従いつつ選挙報道を行う選挙期間の制度に基づき、期間中のメディアとの接触が安全保障を中心とする有権者の政治意識に生じる期間前後での変化へおよぼす影響を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり世論調査を企画・実施した上で、目標とする規模のデータを入手した。その後、Super LearnerをTargeted Maximum Likelihood Estimatorに適用する手法でデータ分析を実施した。すでに2点の学会誌への成果論稿の掲載が決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年参議院選挙で収集したデータを用い、ウクライナ危機や家計の圧迫をめぐる報道に学んだ有権者が自身の政治的態度を変更する過程につき、このような態度の形成を「政治リテラシー」と捉え、その特徴を機械学習に基づき探る論稿を執筆中である。完成稿は日本政治学会機関紙『年報 政治学』 2023度2号への掲載が決定している。
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