2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K01341
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
木下 健 福岡工業大学, 社会環境学部, 准教授 (30735296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 洋平 流通経済大学, 法学部, 准教授 (10780281)
橋本 圭多 神戸学院大学, 法学部, 准教授 (60755388)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 政策提案 / 議員提案条例 / 政策形成 / 地方議会 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、市区における議員提案条例の過去7年分のデータを収集し、なぜ議員提案条例が成立しないのかを明らかにすることを試みた。東京23特別区を含む815市区を調査対象とし、7年分の議員提案条例は1242件であった。政策的でない条例数は, 2015年は175件、 2016年は162件となっている。そのため政策条例に限定し、議員提案条例の905件を分析対象とした。多くの自治体において、議員提案条例が提出されているものの、その多くが可決成立している訳ではなく、議会の政策形成能力は未だに不十分と言わざるを得ない状況にある。いずれの会派も過半数を占めておらず、合意形成が難しい場合において、議会は拒否権プレイヤーとして機能し、条例案の可決は難しくなることを検証した。加えて、人口規模によって議員提案条例の成立のしやすさが変わるのか、議会関連の議員提案条例を除いた場合の政策条例において、どの政策領域の条例案が成立しやすいのかを明らかにした。 分析の結果、議会が拒否権プレイヤーとなる場合に議員提案条例が成立しにくいこと、人口規模が30万人以上40万人未満の自治体で議員提案条例が成立しやすいこと、および総務・まちづくりに関する条例案が成立しやすいことを明らかにした。「理念・宣言型条例」のような理念先行の条例を理念条例としてコントロールしており、理念条例以外の政策条例を成立させるためには、議会内で合意形成が必要である。議会の政策形成能力を向上させるためには、議会での調整コストをいかに軽減するかが重要となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度が計画の初年度であり、当初の予定通りデータを収集し、議員提案条例に関する研究を進めることができている。そのため、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の方針として、2022年度においては、女性議員が政策形成に与える影響を明らかにすることを試みると同時に、アメリカの地方議会における統治形態をレビューし、比較地方議会の観点から捉えなおすことを試みる。 既に次の論文に着手しており、順調に進むと考えられる。
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Causes of Carryover |
旅費として計上していたものは、コロナウィルスの感染状況の拡大により、使用することを見合わせた。そのため、次年度使用額が生じている。
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Research Products
(1 results)