2023 Fiscal Year Research-status Report
A Multiple Case Study of African Countries' Attempts to Withdraw from the International Criminal Court
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21K01343
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
藤井 広重 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (60815645)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 国際刑事裁判所 / 国家元首に対する逮捕状 / アフリカ連合 / 司法化 / 国家の協力義務 / 主権国家 / アムネスティ / 平和構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国際刑事裁判所(ICC)を事例に、アフリカ諸国が外部からの介入に対し、どのような選択を行い、現実がどのように展開してきたのかについて探究してきた。2023年度は、①アフリカ連合の司法化、②ICC逮捕状の執行をめぐる課題、③武力紛争後のアムネスティから考察した。 ①韓国で開催された国際会議2023 KAF-KAAS International Conference “African Dynamics”に出席し、“African Strategies for International Judicial Intervention in the African Union: Judicializing African Politics”と題する研究報告を行った。同報告では、アフリカ連合における司法化の進捗がICCの司法介入による影響を受けてきたことを明らかにし、報告原稿は国際会議のプロシーディングスに掲載された。 ②日本国際連合学会第 24 回(2023年度)研究大会「研究報告セッション2 主権国家体制における人権保障と国連の機能」にて研究報告を行い、国際的な協力義務の履行を法的な問題だけに限らず、これまで論じられることが少なかった国際的な刑事裁判所による逮捕状執行の実践を整理する作業を通して、主権国家体制下においてICCによる国家元首への逮捕状執行がいかなる理由から極めて困難であるといえるのか明らかにした。このときの報告を元にした原稿が2024年6月刊行予定の国連研究第25号に掲載される。 ③学術書出版に関する構想研究会にて、「武力紛争後の不処罰終止をめぐる国際規範と平和構築:ウガンダにおけるアムネスティ(恩赦)の実践」と題した報告を行い、武力紛争後の平和と正義の課題を平和構築と和平交渉の視点から論じた。同報告をもとにした原稿が書籍として2024年度中に刊行される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際会議や学会にて研究報告を行い、議論できたことを発展させ、研究論文を公開、投稿した。また、2023年9月には予定通り、オランダ・ハーグの国際刑事裁判所やEurojustにて調査を実施することができ、国家元首に対する逮捕状執行をめぐる現況(特にヨーロッパ連合側の動向)と課題を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は本研究課題の最終年度となるため、これまでの研究成果を著書として公開すべく、出版に向けた準備を進める。また、2024年9月にトルコで開催される国際人道法の研究会に招待されており、新たなネットワークを構築しながら、国際的な研究成果につながるようこれまでの取り組みを継続する。
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Causes of Carryover |
海外渡航にかかる費用が高額になったため、予定していた二回の海外渡航のすべてを科研費で賄うことができなくなった。このため、一回を科研費ではなく自己資金を充てて実施し、科研費では残額が生じることになった。この残額は次年度に、円安と物価高の影響により高額となった海外渡航費に充てて使用する。
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