2022 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期アジア財団の国際反共戦略とアジアにおける華僑華人研究助成
Project/Area Number |
21K01346
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70234672)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱下 武志 龍谷大学, 公私立大学の部局等, フェロー (90126368)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 華僑華人研究 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
1954 年サンフランシスコにおいて設立されたアジア財団は、最盛期にはアフガニスタンから日本までアジア各地に現地事務所を設置し、多様な分野で現地に密着した小規模・草の根型を特徴とする助成活動を実施した。しかしながらCIAが関与していたことから、活動についてはあまり知られていない。本研究は、華僑華人研究を事例にしてそのアジア財団の助成活動を一次資料に基づき具体的に検討し、冷戦期アジアにおける学知再編とアメリカの介入、および現地知識人の動きを、相互関連的に、そして地域横断的に明らかにすることをめざしている。2022年度は、前年度に引き続きアジアにおける冷戦、北米諸財団の学術助成活動、高等教育における制度的変化、華僑華人研究史など関連分野に関する先行研究を収集検討し、また背景として考えるべき華僑華人をめぐる歴史的条件を確認した。同じく資料調査・収集の予備作業として、アーカイブのカタログから華僑華人に関わる助成リストの作成を進め、一部資料調査も開始することができた。助成プログラム開始にあたっての全体方針に関わる文書を検討し始めたところ、東南アジアの華僑人口を主たる対象に据え、香港を起点に書籍および定期刊行物の出版と流通を中心とするプログラムを立ちあげつつ、国別にローカルな状況に合わせた助成を実施するという2つの柱を考えていた様子がみてとれた。青年、知識人対策として新聞が重視されていたこと、台湾の高等教育機関とともに北米では既存のコネクションをもつ大学が拠点候補として考えられていたこともうかがわれた。また1950年代初頭においては、ごく小規模ながら東南アジア3カ国における助成活動も計画されていたようであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の検討やアーカイブ調査の準備を進め、手元の資料を整理しつつ、一部アーカイブ資料の検討を開始することができたが、北米における本格的な資料調査が実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収束し海外出張が平常どおり可能となると想定されるので、北米およびアジアにおける調査を実施する。引き続きデジタル資料も含めて新たな資料の発掘に努めるとともに、アーカイブ資料の整理・検討を進める。新規収集資料を含めて成果を論文にまとめるべく尽力する。
|
Causes of Carryover |
2022年度はコロナ禍により海外渡航が制約され、海外でのアーカイブ調査が実施できなかった。2023年度は、北米においてアーカイブ調査をおこなうとともに、アジア側での関連資料調査も実施する。またデジタル資料等も含めて新資料の収集にも努める。資料の分析を進め、論文としてまとめる。
|
Research Products
(2 results)