2023 Fiscal Year Research-status Report
冷戦期アジア財団の国際反共戦略とアジアにおける華僑華人研究助成
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21K01346
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小泉 順子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70234672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱下 武志 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90126368)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 華僑華人研究 / 冷戦 |
Outline of Annual Research Achievements |
1954 年サンフランシスコにおいて設立されたアジア財団は、最盛期にはアフガニスタンから日本までアジア各地に現地事務所を設置し、多様な分野で現地に密着した小規模・草の根型を特徴とする助成活動を実施した。しかしながらCIAが関与していたことから、活動についてはあまり知られていない。本研究は、華僑華人研究を事例にしてそのアジア財団の助成活動を一次資料に基づき具体的に検討し、冷戦期アジアにおける学知再編とアメリカの介入、および現地知識人の動きを、相互関連的に、そして地域横断的に明らかにすることをめざしている。2023年度も、前年度に引き続きアジアにおける冷戦、北米諸財団の学術助成活動、高等教育における制度的変化、華僑華人研究史など関連分野に関する先行研究を収集検討しつつ、関連アーカイブ資料の調査検討も続けた。財団の華僑関連プログラムの全体方針の関わる文書の検討から、この分野は1950年代半ばから本格化していき、香港・台湾を拠点とするアジア域内プログラム、各国における現地プログラム、アメリカの本部におけるプログラムという3つのプログラムが分業・協力する形で進められようとしていたことがわかる。共産主義の影響を弱め、各地における華人の統合を推進するとともに、共産主義に抗する中国の伝統研究を奨励するなどの方針も示された。活動の中心は東南アジアにおかれたが、日本の大学に対しても留学生の受け入れ計画などが提案されていた様子がみてとれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の検討やアーカイブ調査の準備を進め、一部アーカイブ資料の検討を開始することができた。また日本関連の活動に関する原稿の執筆にとりかかったが、海外資料調査が実施できなかったため、一部資料が不十分であり完成には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
北米およびアジアにおけるアーカイブ調査を進めるとともに、アジア側での関連資料調査も実施する。資料の分析を進め、執筆中の論考を完成する。
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Causes of Carryover |
年度初頭には予期していなかった業務が入ったことなどにより、予定していた海外調査を延期せざるを得なくなった。今年度は、北米およびアジア現地における資料調査を確実に実施し、論文として成果をまとめたい。
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Research Products
(1 results)