2021 Fiscal Year Research-status Report
Trade governance and domestic politics: A comparative study of Korean and Japanese trade policies
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21K01355
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
金 ゼンマ 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (70509562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リージョナル・ガバナンス / グローバル・ガバナンス / TPP / 地域的な多国間主義 / 国内政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日韓両国が地域的多国間主義(regional multilateralism)へと移りつつある要因を探ることによって、東アジアにおける貿易をめぐる地域的なガバナンスの変容を明らかにすることを目的とする。日韓の自由貿易協定(Free Trade Agreement: FTA)/環太平洋経済連携協定(TPP)締結の加速化の要因を分析する。 2021年度は、まず、グローバル・ガバナンスやリージョナル・ガバナンスに関する理論的アプローチの論文を中心に先行研究の分析を行った。WTO交渉の行き詰まりに対処するため,主要国はオルタナティブ・グローバル・ガバナンスとして,FTAを積極的に模索するようになった。ストレンジは「従来は国家が市場の主人であったが,現在では多くの重要な側面において市場が政府の主人である」と述べ,経済のグローバル化による国家の衰退を指摘した(Strange 1996)。国家の自律性が低下し,グローバル化された市場へのパワー・シフトが高まる中で,もっとも重要な課題はグローバル・ガバナンスをどのように形成するかである。 このような認識のもとで、日韓両国の対外政策の形成と国内各アクターの行動との関連をとらえる分析枠組みを構築するために、国内政治と国際関係の関連に焦点を当てた研究を主に検討した。また利益団体の影響力にも注目し、国家の選好形成プロセスに焦点を当てる研究や、日韓ならびに米国における最新の研究動向もフォローしながら、政策決定過程の実態分析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度では先行研究の分析を行いつつ、国際大会のラウンドテーブルにて関連した報告を行った。貿易の地域秩序形成における日本の役割について、International Studies Association(ISA)年次大会にて、“Japanese Trade Policy Reconsidered: Alternatives for Shaping New Asia-Pacific Regional Order”との題目で報告を行った。また、東アジアのリージョナル・ガバナンスと関連して、東アジアの地域秩序をめぐる貿易の安全保障化(Securitizing Trade)に焦点を当てた論文を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
日韓両国は地域および二国間FTAを通じた地域経済統合に積極的であるが、焦点となる地域は異なる。そこで、日韓のFTA推進において、同地域の国家間のパワー・バランスの変化や政治リーダーのイニシアティブなど、国によって最も重要な要因が異なったことを考察する。特に韓国のFTA戦略は,「埋め込まれた自律性」(embedded autonomy)と特徴づけられるトップダウンの政策メカニズムを通して主に展開した。一方では, 官僚機構間の効果的な調整メカニズムの不在も指摘されている。 今後は、今まで収集した資料をもとに構築した分析枠組みの有用性を検討するため、インタビュー調査を行う。コロナウィルス感染症の影響で行えなかった韓国への出張を行い、現地でしか得られない情報を収集する。特に、政府官僚や利益集団に対するインタビューを積極的に行い、専門家との研究会にも参加し知見を共有する。さらに韓国国際政治学会やInternational Studies Associationにて発表する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染症の影響で韓国出張を行うことができず、インタビューや出張に関する費用を次年度分として申請した。
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Research Products
(2 results)