2022 Fiscal Year Research-status Report
デタントと中国外交(1969~79)――1970年代の中国外交の再検討
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21K01358
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business |
Principal Investigator |
兪 敏浩 名古屋商科大学, 国際学部, 教授 (80530245)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 日中国交正常化 / 中国外交 / 米中接近 / デタント |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究が十分掘り下げることのなかった1970年代初期の中国の対日国交正常化外交と戦略に焦点を当て、中国がどのような論理と戦略に基づき、対日国交正常化外交を展開したかを明らかにすることを目指している。現段階の研究成果は部分的なものに過ぎないが、次のようなことが指摘できる。 文化大革命の終了後中国はより現実的な外交へと軌道修正したが、対日関係においては佐藤政権にする強い不信感から軍国主義批判を特徴とする従来型の狭い統一戦線外交を展開した。しかし、沖縄返還の日米合意を成し遂げた佐藤と自民党政権の支持基盤は強化され、安保闘争もかつての勢いを失っていた。そこで中国は対米関係を優先的に推進し、対日外交においては、日本国内で高まる対中国交正常化を求める世論を見据えながら、統一戦線外交対象を従来の「左派」からいわゆる「中間派」「財界」へと拡大した。 中国の国連加盟、ニクソン訪中による米中和解は確か日本の対中世論に大きな影響をもたらし、対中国交正常化を求める世論は一層高まった。佐藤自身が続投を否定したことからポスト佐藤の人事とその対中政策に広く関心を集まるなかで、中国もポスト佐藤の人事の行方を注意深く見守った。 ところで、米中接近は日本の対中世論を動かした反面、米ソデタントという中国にとっては好ましからぬ外交展開の一助となった。米ソ首脳会談に象徴される米ソデタントが進むと、米ソ二つの超大国に対する中国の外交立場がそれだけ弱体化することになりかねない。対日外交の打開は中国の外交的立場を強化する一つの有効な手段として認知され、そのため中国は対日国交正常化に高い外交の優先順位を与えることになったのである。 上記の内容について重点的に研究を進める一方、中国の対米政策過程、中国の対日観などについても研究を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年から海外での史料調査が可能となり、論文執筆の条件が整えつつある。今年からは引き続き資料調査を進めながら、論文執筆により力を入れたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究プロジェクトも3年目に入り、これまでの研究活動で得られた知見を査読付き論文としてまとめ、公刊する段階にきていると思う。今後も引き続き研究計画調書に記載された研究計画に従って研究活動を行う一方、次の三つのテーマを優先的にとりかかり、それぞれ独立論文としてまとめる予定である。一つ目は、「日中国交正常化と中国の外交戦略」についてである。二つ目は、「デタントと中国外交の転換」についてである。三つ目は、「中国の対米接近外交の政策過程」についてである。 これらの研究を順調に遂行するために、昨年に続き、今年も海外での資料調査を精力的に行う予定である。
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Causes of Carryover |
若干の余剰が生じたため、次年度に繰り越すこととした。 繰越した金額は文献調査のたびに発生するコピー代や送料などに充てるつもりである。
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Research Products
(5 results)