2022 Fiscal Year Research-status Report
中華民国時期における国際主義ーー周コウ生を中心とした考察
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21K01362
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
森川 裕貫 関西学院大学, 文学部, 教授 (50727120)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 周コウ生 / 中国近現代史 / 国際法 / 国際政治学 / 革命外交 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、周コウ生の革命外交に関する言論の分析を実施した。周の革命外交に関する言論は、周も運営に参画していた雑誌『現代評論』などに掲載されたのち、その主だったものは『解放運動中之対外問題』(1927年)と『革命的外交』(1928年)の二つの単著にまとめられているため、まずはこの二冊の著作の内容把握に努めた。 周コウ生はその言論活動を本格的に開始した1910年代末、さらには満洲事変以降にあっても、国際主義と呼ばれる立場を支持していたことが知られる。国際主義とは、国際連盟を中心に国際政治における安全保障確保と国際協調の実現を目指していく考え方である。この考え方の下、民族主義は軽視はされないものの、国際主義と衝突する場合は、何らかの調整を迫られることがあった。つまり、民族主義の貫徹は、国際主義の下では制限される可能性があった。 しかし、『解放運動中之対外問題』と『革命的外交』に示される周の立場は、上記のような国際主義とはしばしば相いれない。『解放運動中之対外問題』と『革命的外交』において、周は中国国民党による列強諸国からの中国権益回収を積極的に支持し、また国際主義よりも民族主義を明らかに優先しているように見受けられる。なぜ、このような議論が展開されるのか、そして満洲事変以降、周が再び国際主義に回帰していく要因は何なのか、さらに検討を進めており、その成果を論文として発表できるよう準備している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周コウ生の革命外交に関する言論を収集し、その検討を進めることができた。また、周の満洲事変に関する言論や、人民共和国成立以降の言論についても収集を進め、検討を開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
周コウ生の満洲事変に関する言論に特に着目して検討を進めたい。満洲事変発生直後から、周は長文の評論を複数発表し、またそれらをまとめた単著も刊行している。長大かつ学術的体裁が強いためか、それらの評論は同時代にあってあまり読者を獲得しなかったようであり、さらには後世においてもそれほど注目されていないが、英語や日本語の文献をふまえて執筆されたその内容は、中国の国際法学者が満洲事変をどのようにとらえていたのかを把握するうえで、考察が不可欠であると考えている。
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Causes of Carryover |
予定していた調査が一部実施できなかったために次年度使用額が生じた。それについては、関連史料購入費用に充てる予定である。
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