2021 Fiscal Year Research-status Report
太平洋戦争下の日中戦争1941-1945年―マルチアーカイブによる再検討
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21K01364
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩谷 將 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 教授 (80779562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日中戦争 / 太平洋戦争 / 国民党 / 共産党 / 日本軍 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度については、新型コロナウイルスの流行により、現地調査が困難であるとの予想していたことから、主としてマイクロ化された米国国立公文書館の国務省文書(M976のうち日中戦争に関する部分)および米陸軍軍事情報部の中国関係文書(M1513のうち現地軍事政治情勢部分)を収集し、あわせて台湾の国史館でデジタル化され、オンライン公開されている、日中戦争に関する中国側の戦争指導関係、および情勢判断に関する史料を収集し、データベース化を行った。また、日本側に関してはまん延防止措置期間を避け、防衛研究所戦史研究センター史料室および呉市海事歴史科学館資料室において、それぞれ陸海軍の史料収集を行った。 また、すでに入手済みの公刊史料集である『20世紀の露中関係』第4巻(第1、2冊)ソ中関係1937-1945のうち、1938年から1942年分について、目次と各文書のデータベース化を行い、必要な文書の選定と検討を実施し、文書の翻訳を開始した。 そのほか、既刊行の先行研究についての分析を進めるとともに、1940年から1941年にかけて、日米の開戦に向けて中国側がアメリカ、イギリス、オランダ、オーストラリア等に対して行った働きかけについて検討を行った。今年度については、中国およびアメリカの二国間についてはすでに収集した史料について分析を終えた。次年度は、現時点においては国外における調査が一部可能となる見通しであることから、調査を待ってイギリス、オランダ、オーストラリアの部分を補完し、成果を取りまとめたうえで公刊する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より、初年度については海外での史料調査が実施できない可能性が高いと判断し、国内での調査と、既刊資料集、マイクロフィルムおよびオンラインで入手可能な史料を用いた研究計画を立てていたことから、おおむね所期の目標どおり進展している。ただ、国内移動が想定より長い期間制限されていた関係で、国内での史料調査が一部出来ておらず、次年度に実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にもとづき、可能となった時点でアメリカおよびヨーロッパでの海外調査を実施し、1941年から1945年の日中戦争に関する史料を収集する。あわせて、今年度収集した史料をもとに1942年から1943年にかけての外交政策と軍事情勢について日中双方から検討する予定である。その際、中国戦線の情勢分析に加えて中国側の対英米関係と日本の対南方作戦がそれぞれ日中戦争に与えた影響を検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限のため、当初予定していた国内調査ができず、その旅費分として次年度使用額が生じた。他方で、その調査を補うために次年度計画を前倒していくつかの研究資料等を購入した。なお、残が出た次年度使用額は当初予定していた国内調査の旅費に充当する。
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Research Products
(1 results)