2023 Fiscal Year Research-status Report
The Effectiveness of International Norms in Multipolar World: the Sustainable Development Goals and Japan
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21K01375
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
小川 裕子 東海大学, 政治経済学部, 教授 (00546111)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | SDGs / 規範 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多極化を象徴する国際規範であるSDGsを事例として、国際規範の実効性確保の政治的過程とメカニズムを明らかにすることを目的とする。 SDGsは17の目標、169のターゲットから構成される、いわば多数の規範を抱き合わせた「複合規範」である。複合規範は選択的受容が起こりやすく、実効性の確保が難しい。そこで世界各国のSDGs達成度ランキングをまとめたSachs et al (2020)の調査において、SDGsの達成度が世界17位と先進国の中で大きく後れを取っている日本を事例とする。そして17目標の中で、日本の最も達成度の低い目標5(ジェンダー平等)に対する取り組みを中心として検討を行う。 国際規範の実効性確保には、多くの場合、各国の国内状況が阻害要因となっていることが多い。しかし各国の国内政治・社会の調査には時間と労力がかかり、十分研究が進展してこなかった。そこで本研究は、日本を事例として国内政治・社会の調査を行い、実効性確保の政治過程・メカニズムを実証的かつ理論的に解明することを目指す。具体的には、日本において、政府関係者、民間企業、有識者、市民団体などに意識調査を行い、国際規範の受容を促進する要因および阻害する要因を特定する。そしてそれら要因が政治過程にどのように作用し、実効性の程度を決めるのかを実証的に明らかにするものである。 本年度は、日本の実効性確保に向けた政治過程・メカニズムを実証的に解明するにあたり必要となる規範理論の議論を整理した。その結果を国際法学会において報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、国際規範の実効性に関する理論的整理を、国際法学会において報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、SDGsの実効性確保の政治的メカニズムについて論考をまとめ、国際法外交雑誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
2021年度、2022年度の2年間にわたり、新型コロナウィルスの影響により、インタビューやアンケートなどの調査活動ができなかった。また研究成果を発表するための国内外の学会がオンライン開催になったため、計上していた旅費を使用できなかった。それによって生じた未使用の資金は、本年度、調査活動や研究報告およびバイアウトに使用する予定である。
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