2022 Fiscal Year Research-status Report
Cold War in East Asia and the Taiwan Strait Crises: Perspectives from Taiwan's Archives
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21K01383
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
松本 はる香 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター東アジア研究グループ, 研究グループ長 (90450543)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 国際政治学 / 冷戦外交史 / 東アジア国際関係史 / 台湾海峡危機 / 米中関係 / 中国 / 台湾 / アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
台湾海峡危機の歴史を振り返ると、戦後から今日に至るまでに三度にわたって中国と台湾の間に台湾海峡危機が発生してきた。そのうちの二つの危機として数えられるのが、冷戦時代の1950年代に起きた、第一次台湾海峡危機(1954~55年)と「第二次台湾海峡危機(1958年)である。また、これら二つの危機に付随するようなかたちで、1960年代初頭にも台湾海峡危機未遂とも言える出来事も発生している。その後、米中国交正常化による米台断交、さらには冷戦の終結を経て、台湾の民主化が進むとともに、いまいちど台湾海峡の緊張が高まり、1996年にいわゆる「第三次台湾海峡危機」が起きた。そして、直近では、2022年8月にペロシ米下院議長による台湾への電撃訪問をきっかけとして「第四次台湾海峡危機」の再来が危ぶまれるような危機的状況が発生したことは、いまだ記憶に新しい。このように、これまで幾度かにわたって台湾海峡危機といえる戦争の一歩手前のような状況が生じてきた。
本年度は、当該科研費研究の二年目に当たり、これまでの研究蓄積に基づき、研究成果を序章、第一章から第七章、終章から構成される、一冊の本の体裁として纏め上げる作業を中心に研究活動を行ってきた。引き続き出版化に向けて、改稿作業を継続中である。また、新型コロナウイルスの影響で、予定していた現地調査ができなかったものの、台湾の冷戦史研究にかかわる海外の専門家のヒアリングをオンラインを通じて数回にわたり実施することができた。また、昨今、台湾海峡危機に対する注目が集まるなかで、それに関わる学術論文や各種評論、執筆活動や国内外における講演会や学会(国際関係史関連の学会パネルでの司会や討論者など)を通じて研究成果の一部を発信してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、前年度に引き続き新型コロナウイルスの影響により、海外における現地調査が一部制限を受けたものの、研究自体は順調に進んだ。また、海外の研究機関とのオンライン会議を通じて、アーカイブ調査に関するヒアリングも実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に関わる本の出版に向けて、出版社が内定したため、今後は担当編集者はもとより、内外の専門家の助言などを受けつつ、改稿作業を進める予定である。それとともに、研究のさらなる補強のために、追加の海外における現地調査などを実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、前年度に次いで新型コロナウイルスの影響によって、海外での現地調査の一部が制約を受けたため、当初の予定通りの海外出張旅費を支出することができなかった。だが、当該年度の後半以降、海外渡航制限も大幅に緩和されたことから、次年度以降、改めて予定していた現地調査を必要に応じて実施していく予定である。
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