2021 Fiscal Year Research-status Report
Multiple-object auction design with multidimensional types
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21K01401
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
佐野 隆司 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (50611208)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オークション / メカニズムデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、売り手が多数の財を売却するとき、売り手収入の意味で最適な複数財オークションとはどのようなルールかについて、ゲーム理論的に考察するものである。特に買い手が財に対して多次元の私的情報を持つとき、一般的に最適オークション設計は極めて困難であることが知られているが、どのような環境であれば現実的なルールによって売り手収入を最大化できるかを明らかにすることが、本研究の主要な目的である。 令和3年度は、主要な研究成果として論文"Position auctions with multidimensional types: revenue maximization and efficiency"を執筆し、ワーキングペーパーとして公開した。買い手が特定の2次元の私的情報を持つような複数財オークション環境で、シンプルなオークションルールが最適になることが非常に稀であることを示すと同時に、どのような状況であればシンプルなオークションが最適となりうるかについて特徴づけを行った。この研究成果については、2022年3月に開催されたゲーム理論ワークショップで報告(招待講演)し、そこでのコメント等を踏まえ現在改訂を始めているところである。 上記論文の執筆に先立って、この研究の端緒となっていた別論文"Dynamic slot allocations with different patience levels"を改訂執筆した。この研究は、売り手が財を逐次的に配分する動学的な問題を考察したものだが、買い手に2次元の私的情報があるモデルである。本論文については、ゲーム理論の国際的なトップジャーナルであるGames and Economic Behaviorに掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、まず多次元タイプの動学的最適制度設計を扱った"Dynamic slot allocations~"論文について学会発表を行い、コメント等をふまえて改訂し、ゲーム理論の国際的トップジャーナルであるGames and Economic Behaviorに掲載することができた。また、この研究を端緒として"Position auctions~"論文に関する研究を開始し、ワーキングペーパーを執筆・公開し、研究会等で報告できた。今後論文の改訂をすすめ、国際的なトップジャーナルへの投稿を目指す。 新型コロナ禍の影響により、研究報告や最新の研究動向の収集の機会が限られている点は残念であったが、令和3年度は国内外の学会・研究会(オンライン)で多くの研究報告を行い、研究を深めることができた。全体としては順調に研究が進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方法については、大きく以下の3点にまとめられる。 1."Position auctions ~"論文について、引き続き追加の分析と改訂を進めるとともに、国内外の学会・研究会等で報告し研究成果を洗練させる。その後国際的なトップジャーナルへの掲載を目指し投稿する。 2.新規の研究として、免許や企業買収のようにオークション後の投資によって財の価値が内生的に決まり、かつ買い手が何らかの資金制約に縛られている状況でのオークション設計の研究を始める。この研究は、投資効率性に関する情報と、資金制約にかかる情報の2種類の私的情報がある下でのオークション設計の研究である。 3.学会・研究会等に参加し最新の研究動向について収集していく。
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Causes of Carryover |
本研究の当初計画では、複数の国内学会に参加し、研究成果の報告および最新の研究動向の資料収集を行う予定であった。しかし、予想よりも新型コロナ禍が長引き、多くの学会・研究会が中止あるいはオンライン開催となっているため、学会参加旅費について未使用額が発生した。また、経年劣化の始まった研究機器等の更新を予定していたが、令和3年度については更新を見送った。未使用額については、可能な場合は国内外の学会等に参加するための旅費や、オンラインミーティング等をスムーズに進めるために研究機器の更新等として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)