2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K01406
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
片山 宗親 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20718134)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | COVID-19 / SIR-Macro |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度から引き続き、国際的学術雑誌への掲載を目指し改訂作業を行なってきた。しかしながら、最終年度では二つの困難に直面した。第一に、新型コロナウィル感染症に対する一般的な関心が、経済活動が正常化するとともに大幅に低下した。これは、アカデミアも例外ではない。第二に、日本において全数届出の見直しや、新型コロナウィルスが感染症法上の分類が第五類となったことから新規感染者数の正確な把握が困難となった。感染リスクの過大(過小)評価をより包括的に考える上では、データセットをアップデートし、最新のデータを用いた推定結果の方がより望ましい。しかしながら、経済主体の行動がコロナ禍以前の様式になると同時に、パンデミック以外の要因(インフレやロシアのウクライナ侵攻など)で経済活動が大きく影響を受ける結果となった。制限された経済活動を伴うパンデミック下では、トラクタビリティーを重視するシンプルなモデルを使用する十分な理由が存在した。しかしながら、経済活動が正常化した状況でシンプルなモデルを構造推定に使用することは、不正確なモデルをあたかも真の経済構造とみなしてしまうため、その弊害が大きい。また、得られるインプリケーションも正確ではなくなってしまう。一方で、パンデミック以前を現実的に記述するモデルにmisperceptionを組み込むことは技術的なハードルが高すぎる問題が存在している。そのため、現時点でのバージョンで、引き続き国際的学術雑誌での掲載を目指すことにする。
それ以外に、ポスト・コロナの経済活動を国際的なネットワークで共同研究していくための枠組みとして、韓国・台湾から研究者を招き、2日間にわたる国際ワークショップを主催した。37人の参加者がこのワークショップに参加し、14人による研究報告が行われ、活発なディスカッションと潜在的な共同研究のアイディアの交換が行われた。
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