2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K01407
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
上代 雄介 関東学院大学, 経済学部, 准教授 (70588201)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コア / 情報の非対称性 / 協力ゲーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の経済主体(プレイヤー)の持つ情報が同じでないとき、つまり情報が非対称なときのプレイヤーの協力行動について、協力ゲーム理論の枠組みを用いて考察する。特に、協力ゲームの解概念の一つであり、配分ルールの安定性を記述する「コア」が、情報が非対称な場合にどのような性質をもつのか分析する。 当研究課題に関連して、本年度は主に以下の研究に従事した。 (1)交換経済モデルにおいて、情報が非対称な場合のコアを、非協力ゲームの解で遂行するためのメカニズムについて考察した。Serrano and Vohra (1997) は、情報が完備な場合に、非協力ゲームの解概念の一つである部分ゲーム完全均衡でコアを遂行するメカニズムを提唱している。本研究では、そのメカニズムを情報が非対称な場合に拡張したときに、コアを非協力ゲームの解で遂行可能かどうかを考察した。その結果として、非協力ゲームの均衡概念として完全ベイジアン均衡を用いた場合、過去の先行研究において提案されてきたコアは、一般的には遂行可能とは言えないことを示した。また、本メカニズムの遂行に関連して、情報が非対称な場合のコアとして新しい概念を提案した。 (2)環境問題における協力関係を協力ゲームによって考察することは、協力ゲーム理論における大きなテーマの一つである。本年度は、情報が完備な場合についての環境問題に関する協力ゲームの先行研究についてサーベイし、情報が非対称な場合の問題を定式化した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情報が非対称な場合のコアを非協力ゲームで遂行するためのメカニズムに関連する結果を、Brown大学のRoberto Serrano教授、Rajiv Vohra教授との共同研究として、ワーキングペーパーにまとめることができた。また、情報が不完備な場合の環境問題のコアに関する問題は定式化まで完了しており、具体的な結果をまとめるのはこれからである。
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Strategy for Future Research Activity |
情報が非対称な場合のコアを非協力ゲームで遂行するためのメカニズムについての研究をワーキングペーパーにしたが、これについては修正すべき点があるため、共著者と議論しつつ修正する。また、情報が非対称な場合の環境問題のコアについては、例を用いつつまとめたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、海外での研究打ち合わせや学会発表等が次年度以降になったため、次年度使用額が生じた。 使用計画についてであるが、研究資料の収集と国内学会での報告、および、もし新型コロナウイルスの世界的な状況が落ち着いていれば、海外での研究打ち合わせを行いたい。
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