2021 Fiscal Year Research-status Report
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21K01411
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
武藤 秀太郎 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (10612913)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルクス主義 / 社会主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、まず2021年7月4日におこなわれた東アジア近代史学会大会のシンポジウム「大戦間期の東アジアにおけるメディア」で、コメンテーターをおこなった。本研究の対象である日中両国の資本主義論争も、大戦間期に雑誌メディアを通じておこった出来事である。シンポジウムでは、さまざまな分野の専門家4名が報告をおこなったが、事前の準備を含めて有益な情報交換、学術交流をおこなうことができた。その成果は、学会誌『東アジア近代史』第26号(2022年6月)にまとめられる予定である。 2021年9月25日には、福沢諭吉協会土曜セミナーで、「堀江帰一と張公権」と題した報告をおこなった。堀江と張は、日中経済思想の交流を考える上で、非常に重要な人物である。2人にみられる密接な学術的関係性は、その後の資本主義論争へと受け継がれていったと解釈できる。報告後には質疑応答があり、有益な示唆をえることができた。この報告内容は、会誌『福沢手帖』に掲載される予定である。 2021年10月16日には、京都・法然院でおこなわれた河上肇記念会主催の講演会で、「河上肇と中国知識人」と題した報告をおこなった。マルクス主義を論じた河上の著作が、李大釗や陳啓修をはじめとした中国人研究者にどううけとめられたかについて考察した。この講演会の質疑応答でも、本研究に通じるさまざまな知見をえることができた。講演内容は、2021年3月に出された『河上肇記念会会報』第126号に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては、中国に存在する文献資料の調査・利用が不可欠である。しかし、コロナ・ウイルスの影響により、中国での調査が予定通りに進んでいない。また、国際郵便での資料の輸送に対する規制がたいへん厳しくなっており、思い通りに資料収集できていない面がある。そのため、中国人研究者や中国に滞在する日本人研究者と、ZoomやWe chatなどのソーシャル・ネットワーキング・システムを通じ、研究に関する情報交換・資料収集をおこなっている。 一方、国内に所蔵されている資料の収集・調査については、おおむね予定通り遂行することができた。学会等での報告も3度おこない、研究テーマのブラッシュアップにつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度もひきつづき、コロナ・ウイルスの影響により、本研究遂行において不可欠である中国・台湾での資料調査については、難航が予想される。この困難を少しでもクリアするために、本年度もひきつづき、中国に拠点を置く研究者とのソーシャル・ネットワーキング・システムを通じた交流を強化してゆきたいと考えている。また、国内における調査は、海外と比べるとかなり制限が緩和されているため、研究計画を前倒しする形ですすめ、来年度に海外調査を重点的におこなうなど、臨機応変に対応してゆきたい。また、申請者が所属している新潟大学と協定校の関係にある華中師範大学や華中科技大学をはじめとした研究機関と連携を強化し、本研究の円滑な進展につとめてゆきたい。
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Causes of Carryover |
当初、2021年夏に台湾で開催される予定であった国際シンポジウムに参加する予定であったが、コロナ・ウイルスの影響により中止となった。また、中国での資料調査をおこなう計画も、同じくコロナ・ウイルスのために遂行できなかった。次年度使用額が生じたのは、このためである。
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Research Products
(3 results)