2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the Intellectual Network of East India College and the Relationship between Malthus and India
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21K01414
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
荒井 智行 南山大学, 経済学部, 教授 (70634103)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 東インド会社 / 東インド・カレッジ / 植民地支配 / マルサス / 経済学の制度化 / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東インド会社が設立した東インド・カレッジを取り巻く知的ネットワークを紐解きながら、マルサスとインドとの関係性を明らかにすることである。2020年に発行されたThe Historical Journal (第63巻第1号)では、「マルサスの特集号」が掲載された。この号では、国際的に著名なマルサス研究者たちが著した計8本の論文が掲載されている。それらのうち、Alison Bashfordの論文「マルサスと中国」、Shailaja Fennellの論文「マルサス、統計学、ならびにインド農業の状態」は、マルサスの文明対野蛮の思想や、マルサスとインドとの関係性を示している点で、本研究に深く関係するものである。こうした研究状況の中で、マルサスとインドとの関係に焦点を当てている本研究は、近年の国際的な学術誌にも見られるように、重要度が高くトピックの研究であるといえる。 以下の「現在までの進捗状況」の中で記した通り、2021年度では、マルサスと東インドに関わる諸文献を読み込みながら、本研究の基礎を固めていく作業を行った。本研究を遂行していくうえで、他の研究者からの助言や研究のサポートは必要不可欠である。2021年度では、2021年12月に、南山大学の南山学会が主催する研究会において、研究発表(「イギリス東インド会社の植民地政策と経済学の制度化をめぐる東インド・カレッジの知的ネットワーク」)を行った。その中で、研究会の参加者の中から有益な意見を賜ることができた。この研究会での発表は、あくまでも途中成果の報告にすぎないが、概ね好意的な反応が得られた。研究の方向性が誤っていないことも確認できたことにより、2022年度に向けて、本研究をさらに発展させることができるよう努めたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、2021年度に、大英図書館において、本研究に関わる一次文献の資料を収集する予定であったが、コロナ問題により、その資料調査を行うことができなかった。また、交付申請書に記した他大学の図書館に所蔵されているデータベースや文献・資料類についても、コロナ問題により学外者の入館が禁止されていたため、それらの資料を閲覧すらできなかった。これらの状況は、交付申請書の中でも記した通り、想定はしていたが、通年にわたってコロナ問題が続いたことは,資料収集の面で後れを取ったと言わざるをえない。また、本年度は、所属大学が変更した1年目の年度と重なった。新しい講義科目の準備等、さまざまな点から、申請時に想定していた当初の本研究のエフォート率においても十分に満たすことができなかった。 だがそれでも、入手可能な文献や資料を読み解きながら、研究を進めていった。The Historical Journal (第63巻第1号)における「マルサスの特集号」等の内容を踏まえながら、マルサスの『人口論』の各版を比較考察するとともに、マルサスと移民論の内容について詳細に分析した。さらに、それらの研究内容を踏まえながら、Robert Mayhewの著作や論文、やAlison Bashford and Joyce E. Chaplin, The New Worlds of Thomas Robert Malthus: Rereading the Principle of Population, Princeton University Press, 2018. 等、本研究で利用可能な文献類についても精査していった。 2021年度においては、コロナ問題による資料の収集が十分に進めなかったとはいえ、今後も入手可能な文献や資料を読み込みながら、粘り強く研究を進めていく所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進策として,研究会や学会報告を行いながら,論文の改善に努めながら本研究をより発展させていくことが求められる.今後の本研究の推進策は,交付申請書で記した各研究者からの助言を賜りながら、チェックを重ねて論文のレヴェルを高めていくことである。今後は,入手可能な資料であっても,それに応じた内容の論文を完成させていかなければならないと考えている。論文の完成度やその客観的な評価について、交付申請書で記した研究者の意見を取り入れながらチェックを重ねていく予定である。なぜなら、自らの研究論文が国際的にいかなる評価と位置づけをもつかについて、批判点も含めて、客観的に見なければならないからである。 上述したように、2022年度の初頭においても、コロナ問題は猛威を奮っており、昨年度と同様に、一次資料の収集が困難な状況に置かれている。そこで先述した入手可能な資料や文献を用いながら、研究を進展させていく必要がある。当初予定していた一次資料の分析を通じた研究に基づく海外の学術誌への投稿においても、投稿する学術誌を見分けながら、本研究の成果に見合った投稿先に論文を投稿していく必要があると考えている。そのために、交付申請書で記した東インド・カレッジの役員や委員に関わる文献を分析する。それらの文献を手がかりにしながら、彼らとマルサスとの関係性を探っていく。 また、申請者はマルサス研究については、必ずしも十分な知識を持ち合わせていないため、これまでの国内のマルサス研究に関わる文献についても参照していくことにする。一次資料を入手できない時だからこそ、本研究の枠組みの中で、上述した入手可能な資料や文献を調べながら論文作成に努めていきたいと考える。
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Causes of Carryover |
2021年度では,新型コロナ・ウィルス問題により、India Office Recordを所蔵する大英図書館において東インド会社ならびに東インド・カレッジの資料収集を十分に行うことができなかった。また、年間を通じて、国内のコロナ・ウィルスの蔓延も深刻な状況にあり、当初予定していた京都大学図書館等のデータベースによる、東インド・カレッジ関連の資料収集についても学外者の入館は認められなかった。これらの状況は、本研究を遂行するための計画変更を余儀なくされた。そのほか、国内での学会においても、すべてがオンラインとなり、旅費については計上しないことになった。以上の理由により、2021年度に未使用額が生じた。 次年度では、コロナの状況によるが、一次資料の収集のために、上述した大英図書館での資料収集や京都大学図書館や中央大学図書館等での資料収集に力を注ぎたい。そのほか、東インド会社関連の一次資料において、データベースで収集する資料についても、予め入手すべき資料の優先順位を考え、効率よく資料を収集できるように計画を立てることにする。コロナが蔓延している場合でも、入手可能な文献を集め本研究を進めていく。 2021年度では、資料調査において不本意な結果になってしまったことから、上述した図書館やそれ以外の資料館で、資料の徹底調査を行うことができるように、資料収集のための準備にも努めていく所存である。
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Research Products
(1 results)