2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K01415
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
宮田 純 帝京大学, 経済学部, 准教授 (60846351)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 本多利明 / 蝦夷道知辺 / 蝦夷地 / 北海道 / 北方開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究成果として、研究課題名「東アジアにおける北方開発経済論の始原に関する研究」の根幹に位置する資料『蝦夷道知辺』の資料調査を進展させた。都内の所蔵機関である国立国会図書館や、既に所有済みの資料の分析を進め、古文書資料の解読・翻刻・内容の解釈に従事した。その場合に、物品(PCやタブレット型デジタルペーパー)をおおいに活用した。この作業は、全国に点在する同書との内容の照合に関わるものであり、研究課題から導き出される成果の根底に位置するため、時間をかけながらの作業となった。 また、上記への従事と同時並行のものとして、日本における北海道開発の歴史についても、編年的な整理を行った。この作業は、既に所有する先行研究資料をおおいに活用したものであるが、必要に応じて、2022年度にも継続的に行ってゆく予定である。 これらの成果についての発表として、日本経済思想史学会における専門分野から派生した研究会(近世史小部会)において、「本多利明の経済政策思想―「豊かさ」(豊饒)に着目した研究の可能性―」(2021年7月24日)を報告し、日本経済思想史研究における、特に近世史を分析対象とする研究者から、発展的な意見や質問を受け、研究課題の進展に資する時間を確保した。また、大阪経済大学が主催する日本の経済思想をめぐる研究会において、「本多利明と北海道―『蝦夷拾遺』を中心として―」(2022年2月26日)を研究報告し、日本経済思想史のみならず、社会学や、経済学史、あるいは、日本経済思想史研究における近代史を分析対象とする専門分野の研究者から、多領域からの意見や質問を受け、学際的な点においての研究の進展があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東京都内に所在する資料『蝦夷道知辺』の分析、ならびに、既に所有する資料についての分析を進め、その内容についての口頭報告も複数回行ったことから、研究課題における地道な研究活動は進んだといえるが、本来、2021年度に予定していた、函館市中央図書館・北海道大学に所蔵する資料に対する悉皆調査を行うことができなかった。これは、ひとえに、コロナ禍において、出張の機会や上記所蔵機関への訪問の機会が失われたことによるものである。 また、物品として、デスクトップ型PCと持ち運びのできるタブレット型デジタルペーパーを購入し、資料分析におおいに活用した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度に予定している、札幌市中央図書館・北海道立図書館への訪問による資料『蝦夷道知辺』の悉皆調査を実行するのみならず、本来、2021年度に予定していた函館市中央図書館・北海道大学への訪問による悉皆調査についても2022年度には実行したい。そのためにはコロナ禍における対策を講ずる必要もあるが、それについては現在進行形のものとして模索している。 また、都内に所在する同書の悉皆調査についても、同時並行にて完遂を目指したい。 なお、2021年度に物品として購入したデスクトップPCやタブレット型デジタルペーパーを活用しながら、さらなる資料分析を進めてゆきたい。その場合に、必要な参考図書や、機材の購入を通じて、研究環境の充実化もはかってゆきたい。 なお、2021年度の成果、ならびに2022年度における成果を土台として、日本経済思想史学会の全国大会における研究報告(2022年5月15日予定)を通じて、研究課題名「東アジアにおける北方開発経済論の始原に関する研究」をさらに進展させてゆきたい。なお、2022年度より、国際日本文化研究センターの共同研究員(伊東貴之主催「比較のなかの「東アジア」の「近世」―新しい世界史の認識と構想のために―」)に就任したことから、同研究会における口頭報告の機会も研究課題に資するものとして利用してゆきたい。
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Causes of Carryover |
2021年度に函館市中央図書館・北海道大学の所蔵資料についての複数回にわたる悉皆調査を予定していたが、コロナ禍における出張の取りやめ、ならびに資料所蔵機関への訪問を断念せざるをえなかった。したがって、出張費や資料調査費を活用することができなかった。 また、資料調査に基づく研究報告において、報告がオンラインとなったため、出張費を活用することができなかった。 2022年度は、上記の機関とともに、もともと2022年に出張を予定している札幌市中央図書館・北海道立図書館への出張を実施し、悉皆調査を進展させるべく、助成金を使用してゆきたい。 また、研究報告においても、開催地への出張に助成金を使用する予定であるが、多彩な研究報告の媒体をさらに広げてゆきたいと考えている。その場合にも助成金の活用が予定される。
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Remarks |
研究会報告1)「本多利明の経済政策思想―「豊かさ」(豊饒)に着目した研究の可能性―」(日本経済思想史学会 近世史小部会 オンライン研究会)(2021年7月24日) 研究会報告2)「本多利明と北海道―『蝦夷拾遺』を中心として―」(大阪経済大学 日本の経済思想をめぐる研究会 オンライン研究会)(2022年2月26日)
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