2021 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study on complementarity among production factors and income inequality using panel data
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21K01436
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 真吾 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (10326283)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パネルデータ / グループ異質性 / 生産要素の補完性 / LASSO |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,国別パネルデータを用いて,係数異質性を持つグループへの分類とグループごとの係数を同時に推定する手法について考察を深め,グループ数の推定もあらたに提案する情報量基準に基づいて行った. どの国がどのグループに属するかという点は事前には未知であるものの,サンプルに含まれる国のグループ数を所与として,どの国がどのグループに属すると考えつつ,モデルに含まれるグループごとの係数を推定すれば最も尤度を高くすることができるか,というアルゴリズムを提示し,実際の国別パネルデータに適用し,各国の生産関数において人的資本と物理的資本(特にインフラ設備)が補完的か代替的かを判別する実証分析に適用した. 推定結果は,国ごとに明瞭に有意に代替・補完あるいはほとんど関係なしという分類を行うことができており,その結果から経済成長が,人的資本への配当を通じて,国内の所得分配にどのような含意を持つのかという点についての実証的な含意に対しても考察を行っている. 昨年オンライン国際学会で行った報告をもとに上記論文の改訂を進めつつ,新たに時間軸報告での構造変化を含めたモデルについても推定方法について実験を行っている.上記のグループごとに係数を求めていくアルゴリズムを,グループLASSO法によって,時間軸方向での構造変化点を見つけるルーティンを含めることによって,未知の構造変化点・変化回数を持つグループ異質的パネルデータモデルの推定という問題に取り組んでいる.先行する研究との理論的・実証的差異がどのようなものであるかという点に注目して研究を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進展は順調である.理由としては,すでにグループ異質性を持つパネルデータモデルの推定を行うプログラムが完成しその正常な動作を確認できたこと(分類された結果が,投入要素間の補完ー代替関係を示す尺度という観点から極めて鮮明であったことなど),適切なグループ数を決定するためのモデル選択の理論的な基準が明らかになったこと,を根拠として挙げることができる.関連データの作成も大学院生の協力の下,既存研究を踏まえたスキル別人的資本系列の作成,標本期間に対応した国別ジニ係数などの所得分配系列の作成などの進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
グループ異質的パネルデータモデルの推定問題を扱う論文の改訂を進めている.データ整備面では,先行研究でのデータセット作成を参考に,大学院生の補助を得ながら,スキル別人的資本変数の作成および所得分布への影響を確認するため国別ジニ係数の作成はほぼ終了しているが,今後は物的資本とくにインフラストラクチャーに関する系列の見直しを行う.先行研究の方法を踏襲する限り,対象国・対象期間が他の変数の利用可能国数・期間よりも制約されてしまうため,代替可能なインフラストラクチャーに関する系列を模索する予定である.データ整備が終了し次第,再度の論文改訂を行う予定である. 加えて,新たに時間軸報告での構造変化を含めたモデルについても推定方法について実験を行っている.上記のグループごとに係数を求めていくアルゴリズムを,グループLASSO法によって,時間軸方向での構造変化点を見つけるルーティンを含めることによって,未知の構造変化点・変化回数を持つグループ異質的パネルデータモデルの推定という問題に取り組んでいる.それぞれの時点ごとの係数変化の大きさとなるようモデルを書き換えることによってグループLASSOの方法によって構造変化が起きない時点での係数変化がゼロと推定可能である. 先行する研究を参照しながら,本研究の方法が理論的に正当性を持つ(推定量の一致性など)ための条件等について検討し,モンテカルロシミュレーションなどを通じて・実証的差異がどのようなものであるかという点に注目して研究を進めている.
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Causes of Carryover |
学会参加やセミナー報告などに予定してた旅費すべてを他の項目で支出することができなかったため支出額に計画とは異なる点が出た.令和4年度は対面での学会参加やセミナー報告などが可能となるので使用計画を実施可能と考えている.
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