2022 Fiscal Year Research-status Report
An empirical study on complementarity among production factors and income inequality using panel data
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21K01436
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高木 真吾 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (10326283)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パネルデータ / グループ異質性 / 生産要素の補完性 / ジニ係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,"An empirical examination of the effect of infrastructure on economic development: a large and heterogeneous panel data analysis" と題する論文・公刊を作成した.この論文では,生産関数を表す生産要素と産出量の関係式を誤差修正項として含む自己回帰分布ラグモデルをパネルデータを用いて推定する問題を考えている.特に,誤差修正項に含まれる生産関数の係数がいくつかの均質な値のグループに分類できるとき,そのグループメンバーを推定し,係数パラメータも推定する方法について議論した.何個のグループに分類できるかという選択についても,情報量基準を導出することで対処した.実際の国別パネルデータに適用した推定結果から,高技能を持つ人的資本とインフラ設備が補完的か否か,そしてその補完性/代替性の強さによって,グループが分類され,補完的であるほど国内の所得分布の集中度を示すジニ係数が高くなる傾向が見られた.ここから補完的であれば,インフラ投資が高技能人材への賃金を引き上げるメカニズムが存在しているという実証的な含意が示唆される. 上記論文以外に,農家世帯の生産ー消費計画において,流動性制約が世帯の栄養状態にどの与える影響に関する分析を,ナイジェリアの農家世帯パネルデータを用いて,世帯レベルの異質性を考慮したスイッチング回帰モデルによって分析した論文も公刊した.生産計画において,自家消費のために多様な栄養素を持つ作物を生産することで,栄養面での自衛が可能となるが,流動性制約の下では必ずしも実行可能ではない.実際,制約下の世帯では生産多様化が栄養改善に与える効果が,無制約の場合に比べて小さい.ただし全体としては所得向上が栄養改善に最も効果的であることも定量的に確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は査読付き英文雑誌に3編の論文が公刊できた.いずれもパネルデータを用いた実証研究であり,異質なグループを含むパネルデータでのグループ化,非線形モデル(スイッチング回帰モデル)においてコントロール関数を用いて異質性を制御する,非線形モデル(標本選別モデル)において加法的および乗法的なニ方向固定効果を含むモデルの推定,といったパネルデータ利用についても従来の研究に工夫を加えた定量的な方法論も提示できた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は,異質なグループを含むパネルデータ分析に関して構造変化を含む分析へも応用する予定である.時点ごと・グループごとに,どこで異なっていて,どこは均質なのかをクロスセクションと時系列の二方向で探索する方法について研究を行う. 参加可能となってきたセミナーや研究会にて研究報告を行い,そこで得たフィードバックによってさらなる研究推進を目指す.
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Causes of Carryover |
昨年段階では,計画していた研究報告のための出張が十分には行えず,旅費使用計画に変更が出たが,今年度以降は研究交流が以前の様に実施できることが期待できる.
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Research Products
(3 results)