2023 Fiscal Year Research-status Report
途上国の農村・都市間移住と労働市場への気候変動影響:技術の異質性と内生的適応技術
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21K01441
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中田 実 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (50372545)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 環境と移民 / 環境汚染 / 内生的技術変化 / 異質性 / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気候変動などの地球環境問題が、途上国国内における農村-都市間の移住にどのような影響を与えるか分析する。気候変動に由来する降水量や気温の変化に対し、適応できなくなった農業従事者が、未熟練労働者となって都市に移住することを想定し、農民が気候変動に適応する際の適応技術水準に異質性を導入すると同時に、内生的な適応技術獲得を導入した理論モデルを構築する。本研究の特色は、気候変動に由来する農業生産性低下が促す農民の都市流入が、都市の労働市場・賃金水準に影響を与えないのはなぜか、地球環境問題が、途上国国内における農村-都市間の移住にどのような影響を与え得るのかについて分析することにある。分析では、気候変動に由来する降水量や気温の変化に対し、適応不能となった農業従事者が未熟練労働者として都市に移住する事例に焦点をおく。気候変動がもたらす温度変化や降水量変化に対する農民の適応技術に異質性を導入すると同時に、適応技術獲得を内生化した一般均衡モデルを構築、現実妥当性検証のためのシミュレーションを行う。まず,適応投資を内生化しない場合、気候変動による負の影響は低所得であるほど小さくなる可能性があるが、高所得者層の都市への移住が労働市場への参入を促し賃金が低下する可能性を示唆するモデルを構築するため、基礎的モデルの構築を行った。次に,気候変動への適応技術を内生化し、気候変動の負の影響が生産量の少ない農民ほど大きくなるモデルを構築、その結果農民の都市流入が、都市の労働市場・賃金水準に影響を与えない可能性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も前半は引き続き感染症対策が残ったため、海外の研究機関に所属する研究協力者とはオンラインベースでの会議における意見交換が主となり、限定的な研究交流しかできなかったため、分析結果に関するより詳細な議論ができなかったことが、反省点として挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、適応投資を内生化する場合、気候変動の負の影響が生産量の少ない農民ほど大きくなるモデルの構築と洗練化を進め、定性的な分析を進める.そのほか分析でのモデルの動きを現実的なものにするために,既存研究や研究協力者の助言を頂きながら,他に必要なパラメーターがないかどうかについてもチェックを行う.その際には,海外出張及び,研究協力者を名古屋大学に招聘する可能性がある.第三に完成したモデル分析の現実的な示唆をより詳細に得るため,シミュレーションを行う予定である.その際には計算ソフトが必要になってくる可能性がある.
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Causes of Carryover |
今年度も引き続き感染症対策の影響が特に初期に残ったため,海外の研究者とは,オンラインベースでの会議における意見交換が主となったため,分析結果に関するより詳細な議論ができなかったことが,理由として挙げられる.来年度は,より積極的な運営体制に移行したい.
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Research Products
(1 results)