2021 Fiscal Year Research-status Report
The effects of increased international outsourcing on welfare in developed and developing countries
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21K01445
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
清水 隆則 兵庫県立大学, 社会科学研究科, 准教授 (90582982)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 国際的なアウトソーシング / イノベーション / 失業 / 経済厚生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、ディスカッションペーパーとして発表していた、国際的なアウトソーシングの進展が先進国と発展途上国の経済厚生に与える効果に関する研究に加筆修正して、学内の紀要『商大論集』に公刊した(参考文献の(1))。この研究では、先進国のイノベーション活動における効率性の上昇がアウトソーシングを減少させるならば、先進国と発展途上国の経済厚生がともに改善することを示した。 また、関連研究のサーベイを行う中で、特に生産移転の経路としてアウトソーシングや海外直接投資を導入しているプロダクト・サイクルモデルに関しては、完全雇用を前提としているモデルが多いことがわかったため、先述の2021年度に公刊した研究に、賃金の硬直性による失業を導入したモデルを構築した。 分析の結果、解析的には明確な結果が得られない部分が多いため、数値計算を行っている。主な結果は以下のとおりである。発展途上国において失業が発生している状況では、アウトソーシングの進展により、ほとんどのパラメータ値において、先進国の賃金率は減少し、イノベーションは増加する。発展途上国の雇用の変化については明確な結果が得られていないが、発展途上国の雇用量が増加(減少)すれば、発展途上国(先進国)の経済厚生が改善するという結果が得られる。今後、学会発表などを行い分析結果を精緻化し、2022年度中にディスカッションペーパーなどの形で公表する予定である。 [参考文献] (1)清水隆則「国際的なアウトソーシングの経済厚生分析―品質上昇型プロダクト・サイクルモデルによる分析-」『商大論集』第73巻 第3号pp. 263-278
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、失業を伴うプロダクト・サイクルモデルにおいて、アウトソーシングの進展が先進国と発展途上国の経済厚生に与える効果を分析した。主要な分析結果は得られているが、論文として公表することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に構築した、失業を伴うプロダクト・サイクルモデルを論文としてまとめ、学会報告し、ディスカッションペーパーなどで公表する予定である。並行して、関連研究として、アウトソーシングと雇用およびイノベーションの間の関係を扱った理論研究と実証研究をサーベイする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由として、(1)数値計算ソフトウェアが想定よりも安く購入できたこと、(2)PCを購入しなかったこと、(3)コロナウイルスの影響により国内のほとんどの学会がオンライン開催となり、旅費の使用がなかったことが挙げられる。2022年度は、研究のために必要な機材を購入し、研究結果を発表するために学会に積極的に参加する予定である。
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