2021 Fiscal Year Research-status Report
Asset Price Fluctuations and Macroeconomic Policy
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21K01448
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
奴田原 健悟 専修大学, 経済学部, 教授 (30553672)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 資産価格 / マクロ経済 / 金融政策 / 経済政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、資産価格変動のメカニズムを理解し、望ましい経済政策についての分析を行うことである。 本年度は、資産価格が分析でき、かつ長期のインフレ率がゼロでないマクロ経済モデルを開発した。また、そのモデルを用いて、中央銀行が資産価格変動を考慮した金融政策運営を行うことのマクロ経済への効果を分析した。このモデルでは、資産価格変動とインフレ率(とくに長期のインフレ率)との関係、および金融政策と資産価格変動の関係についての知見が得られると考えられる。 既存の分析では長期のインフレ率がゼロの場合のみを扱うことができるモデルが用いられ、資産価格変動を考慮した金融政策は、均衡の非決定性(Equilibrium indetermiancy)の要因となり、望ましくないとされている。しかしながら、日本を含め、現実の経済では長期のインフレ率はゼロではない。とくに日本は1990年代末から長期デフレと呼ばれる状況に苦しんでいる。本研究計画の分析では、長期のインフレ率がマイナスで十分に低く、日本のような長期デフレに陥っている場合は、中央銀行が資産価格を考慮して金融政策を行うことは、均衡の決定性(Equilibrium determinacy)に貢献し、マクロ経済の安定化要因となることを発見した。この研究成果は、"Trend inflation, asset prices and monetary policy"という論文としてまとめ、ワーキングペーパーを公表した。 また、若手・中堅のマクロ経済学研究者をメンバーとした研究会であるDSGE workshopをオンラインで3回開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資産価格変動を分析するマクロモデルの開発と、金融政策の効果について、一定の知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究成果は学会や研究会などで報告し、改定したうえで、英文査読雑誌への掲載を目指す。 加えて、昨年度の成果である資産価格変動の性質を応用しつつ、資産を保有する家計と保有しない家計という家計の異質性を考慮したマクロモデルの開発と、経済政策の関係についての分析を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、予定していた海外学会出張が行えず、繰り越すこととなった。2022年度以降、研究成果の発表のための学会出張旅費などとして使用する計画である。
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Research Products
(2 results)