2021 Fiscal Year Research-status Report
Effects of carbon pricing and environmental education on economic growth
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21K01449
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
松川 勇 武蔵大学, 経済学部, 教授 (50287851)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽光・風力などの再生可能エネルギーの普及と経済成長の両立を実現する方策としてカーボンプライシングと環境教育を取り上げ、長期的な観点から両者の望ましい組み合わせを分析した文献の調査を行った。具体的には、カーボンプライシングと環境教育が経済成長に及ぼす影響に焦点をあてた既存の研究を中心として、内外の分析事例を調査した。文献調査では、オーバーラッピング・ジェネレーションモデルをもとに環境に配慮した財・サービスに対する選好を内生化した経済モデルを構築し、現在の消費者のみならず将来の消費者の便益についても考慮した最適な環境政策の在り方を明らかにした理論的な分析が有用であった。なかでも、環境教育によって資源の節約を重視する消費者と、教育にかかわらず資源の浪費を好む消費者が混在する社会において、2つのタイプの消費者が長期的にどのように分布するのか、について明らかにした事例は、本研究のモデル構築において有用である。 炭素税の導入に対しては、わが国をはじめ世界各国において反対意見が少なくない。しかし、環境教育を適切に促進することによって将来炭素税を受容する消費者が増加し、炭素税の導入が政治的に容易になる可能性が既存研究では示されている。また、炭素税率を比較的低い水準に設定して政治的受容性を高めるよりも、環境教育を促進する方が長期的に効果が高くなる可能性が指摘されている。 環境教育および炭素税をめぐるこれらの調査結果からは、今後のモデル構築に際して十分活用できる有用な情報が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に文献調査を完了することを予定していたところ、関連する既存研究についておおむね調査することができた。このため、「おおむね順調に進んでいる」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、企業行動を中心として環境と経済成長に関する分析を行う。具体的には、資本と労働の2要素の生産関数を想定し、経済の持続状態において自動化される工程の増加が資本の分配率および経済成長率に及ぼす影響を分析する。また、資本と労働の代替弾力性に関するシナリオ別にシミュレーションを行い、自動化される工程の割合と資本の分配率の関係について明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大によって国際学会が中止になり、次年度使用額が生じた。2022年度に研究に必要な物品の購入費用の一部に充当するか、もしくは参考となる研究資料が期待できる国際学会への参加費用・旅費に充当する予定である。
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