2021 Fiscal Year Research-status Report
Impacts of incorporation of public technology transfer organizations: Evidence from Japan's Kohsetsushi
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21K01458
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福川 信也 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00433409)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 公設試験研究機関 / 技術移転 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
法制度はインセンティブシステム(知的財産所有権、経営自由度、報酬配分)を変化させることで、経済主体の行動と成果に影響を与える。技術移転の文脈では、特許の所有権を国から大学に移転することで、大学からの技術移転(特許のライセンス)を促進する試みが米国で1980年代から、日本では1990年代から行われてきた。2003年に施行された地方独立行政法人法(地独法)は地方自治体の設立した病院、大学、公設試験研究機関(以下、公設試)などを法人化し、自律的な資源配分・経営裁量の拡張、第三者による能力主義評価、地方自治体からの知的財産の継承を通じて、地域医療・経済の充実・成長を促すことを企図している。本研究は地独法をインセンティブシステム改革ととらえ、その技術移転活動と生産性への影響を解明する。 本年度は公設試の技術移転活動のパネルデータ構築を行った。具体的には、公設試験研究機関の特許実施収入(ロイヤルティ)データを特許データと接続し、2000年から2020年のパネルデータを構築した。地域は都道府県レベル、技術分野はバイオテクノロジー、化学、機械工学、電子工学、精密機器、その他に分類した。 内生的スイッチング回帰(ESR)モデルに基づいて、反事実分析(法人化公設試が法人化されていなかったら・非法人化公設試が法人化されていたら、どうなっていたか)を行った。その結果、法人化による治療群の平均治療効果(ATT)が有意に負であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データセットの構築はパンデミックの影響を受けず、順調に進み、予定していたATTの評価まで進むことができた。ESRモデルの予備的な推計結果に基づいて、オンライン研究会での報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン報告で得たコメントなどに基づいて、仮説の見直し、データセットの再構築を行う。
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Causes of Carryover |
予定されていたパネルデータ分析にあわせて質問紙調査の必要が生じ、そのための経費を支弁したため。
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