2022 Fiscal Year Research-status Report
New Wholesale Model and MFN Clauses of Dominant Retailers
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21K01484
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
柳川 隆 摂南大学, 経済学部, 教授 (60247616)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 新卸売モデル / 卸売モデル / 委託モデル / 再販モデル / 代理モデル / 最恵顧客条項 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果としては、第1に、新卸売モデルの構築について、卸売モデルや委託モデル、再販モデルとの間に関する、卸売価格や販売手数料、小売価格、製造業者利潤、小売業者利潤を比較する論文を完成した。この中で、新たに卸売モデルと委託モデルの比較の結果が需要関数の性質に依存することを見出した。この成果は日本語の書籍の1章として刊行することとした。現在再校を終え、近日中に出版される。第2に、代理モデルから新卸売モデルへの移行についての英語論文を完成し、現在投稿中である。第3に、代理モデルと新卸売モデルの比較に、新たに最恵顧客条項を導入し、代理モデルへの競争政策による介入のインプリケーションに関する研究を行った。本論文の骨子はおおむね完成した。以上の研究は、共著者(李月氏)と共同で行ったものであり、冬期に6週間招聘して集中的に共同研究したほか、メール等で意見交換をして実施したものである。第4に、関連する研究として、電力市場自由化で既存電力会社が安価な電源を保有することの競争への影響と、当局による市場介入の可能性として、当該電源を安価に新規参入者に利用させることと、当該電源を公的に所有することの二つの可能性の経済厚生への比較を行った。結論として、公的供給のほうが望ましいが、供給制約がある場合には結論が逆転することを示した。また既存電力会社が安価な電源の私的供給を公的供給より望む条件を導出した。本研究は、生田祐介氏との共同研究で、Ownership structure of nuclear power plants for fair competition and efficiency: private low-cost access versus public ownershipと題する論文がInternational Journal of Economic Policy Studies (2022年12月)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の第1ステップである新卸売モデルの構築は、当初想定していたより豊かな分析結果を得ることができた。第2ステップである最恵顧客条項に関する研究はほぼ完成した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を論文として刊行することを第1の目標とする。その後、次のステップとして、研究の新たな発展の方向を目指して、新卸売モデルにネットワーク効果を導入する研究にチャレンジしていく。
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Causes of Carryover |
共同研究者の中国からの招聘は予定通り実施できたが、コロナ禍のためにまだ本年度は日本から中国への渡航は難しかった。今後は予定通り実施して、研究を一層促進したい。また、論文が順調に完成してきているので海外での学会報告の機会を設けたい。
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