2021 Fiscal Year Research-status Report
Integrated economic analysis of microdata and geospatial information
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21K01497
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Research Institution | Research Institute of Economy, Trade and Industry |
Principal Investigator |
近藤 恵介 独立行政法人経済産業研究所, 研究グループ, 上席研究員 (70734010)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 人口移動 / ジョブサーチ / 最低賃金 / アドレスマッチング / ジオコーディング / メッシュデータ / 人流データ / ミクロデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来のミクロデータ分析における位置情報と近年ビッグデータとして利用可能になってきた地理空間情報を統合することで新たな実証分析の体系化を目指す。学術的独自性・創造性としては、アドレスマッチング(もしくはジオコーディング)のように、近年利用可能になった地理空間情報の最新技術をミクロデータ分析に取り込む点にある。アドレスマッチングとは、住所情報から地理空間上の座標を緯度・経度として識別する技術である。立地点が特定できることで、労働者や企業が周辺環境からどのような影響を受けているのかを統計的に検証できるようになる。 従来のミクロデータ分析にアドレスマッチングを統合することでこれまで明示的に検証することが困難であった仮説も検証できるようになる。例えば、これまで日本で行われてきた中心市街地活性化政策を考える。中心市街地活性化では対象区域を地理的に指定する必要があるが、従来のミクロデータ分析のように、企業・事業所の位置情報を市区町村情報のみで認識していては適切な政策評価を行うことが困難になる。高精度のアドレスマッチングを利用することで、どの企業・事業所が対象区域に立地し政策便益を積極的に受けているのか把握する必要がある。 さらに近年ビッグデータとして、携帯電話の位置情報を利用した人流データが利用できるようになってきた。ビッグデータの利点としては、高頻度にデータが蓄積される点にある。例えば月次単位で調査されているミクロデータと合わせることで周辺の人流の変化による経済活動の影響も検証できるようになる。 2021年度の研究実績として、アドレスマッチングに係る専門ソフトウェアの準備を行った。また、膨大なメッシュデータを効率的に処理できるように統計ソフトウェアのパッケージ開発を行った。また、研究環境が整うまでに計画していた1つの研究テーマに進展があり、論文を公開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた研究テーマの1つに進展があったため、そちらを優先的に行い論文執筆まで完了させた。したがって、当初の研究スケジュールでは、早期に申請予定だった一部の調査票情報の手続きが後れてしまっている。一方で、調査票情報の申請を除いては、データ分析に必要な研究環境を整えることができた。今後は必要な調査票情報の申請手続きが完了すれば、データ分析を開始することができる状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に執筆した論文を査読付き学術雑誌に投稿し、研究期間内での掲載を目指す。また、膨大な地理空間情報を扱うために統計ソフトウェア上でのプログラム開発を進めてきたので、幅広く社会で使えるようにパッケージ化しつつ専門の学術雑誌への投稿を検討している。今後は、早期に調査票情報の申請を進めて、研究計画通りにデータ分析へ移行する。
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Causes of Carryover |
(理由)当初購入予定だった製品について予算が足りず別の形で調達したため。 (使用計画)論文が査読付き学術雑誌に掲載された際にはオープンアクセス費用として支出し、社会に広く研究成果を還元できればと考えている。
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Research Products
(4 results)